丸山あかね『「君は一人でも生きていける」とは言われたくない:30代独身女性恋愛事情』(原書房 2001)を読む。
30代ともなると自分にも一定の収入があり、自分の生活ペースを変えたくなくなるので、自然相手を見る目も高くなり、結婚というハードルが高くなってしまう。結婚しない人生もありという時代だからこそ迷ってしまう恋愛事情を軽いタッチで描く。
月別アーカイブ: 2003年9月
『マネー敗戦』
吉川元忠『マネー敗戦』(文春新書 1998)を読む。
1980年からの日米経済を為替の動きを中心に分析している。経済の素人の私は、日米経済というと小中学校の社会の授業で習った実体経済しか思い浮かばなかった。橋龍政権時にあった貿易摩擦などは、日本の自動車産業とアメリカのBIG3や農業団体とつながった米通商の見えやすい対立だと考えていた。しかし、すでに95年の時点で、世界の主要市場での外国為替取引高は1日約1兆9000億円ドルであるが、そのうち同年の世界の貿易規模はその1.2%に過ぎないというデータがある。つまり為替の動きもそのほとんどは実際の貿易に比例しておらず、極めて国家レベル、また国家の枠組みを超えた商取引きのなかで決まってしまうのだ。
この本では日本のバブル発生から崩壊まで、全てアメリカの基軸通貨政策と為替誘導によって操作されていたと指摘する。80年代以降日本政府や銀行、生保がこぞってドルのまま米国債を買い続けたがために、アメリカによる恣意的なドル安政策によって90年代前半だけで為替差損が30兆円近く発生してしまい、バブル崩壊後の国債発行、公共投資による景気刺激策の効果の大半が消えてしまったという結論付ける。また90年代後半に発生したタイや韓国でのアジア経済の危機も、その背景にドル政策があるという。文芸春秋社発行の『諸君』に連載されていた内容だったためか、ドルに左右されない円によるブロック経済への意向を示唆するような箇所もあった。それにしても経済を読むのは難しいと実感した一冊であった。
『インターネット??:次世代への扉』
村井純『インターネット??:次世代への扉』(岩波新書1998)を読む。
JPINIC代表など、日本でのインターネットの普及の立役者であるだけに、その普及を見守る視点は暖かい。
『中国を知る』
田畑光永『中国を知る』(岩波ジュニア新書 1990)を読む。
天安門事件をめぐっての当時の中国首脳の動きが整理できた。また殷周時代から日中戦争までの教科書的な流れを受験時代を思い返しながら読んだ。
『警察はなぜあるのか:行政機関と私たち』
原野翹『警察はなぜあるのか:行政機関と私たち』(岩波ジュニア新書 1989)を読む。
警察という一行政機関の実態を具体的に挙げながら公共機関の意義(行政の公共分析)に迫ろうとする良書である。是非高校生に手にとってもらいたい本だ。1986年の緒方靖夫共産党国際部長盗聴事件の例など、その時々の政権に奉仕する警察の実情に懐疑的な視点を向けながらも、福祉も家庭問題も何もかも丸なげで警察にまかせてしまう市民の意識にも問題を投げかける。読みやすくかつ私たち国民の主権のあり方に結論をもってくる展開は好感が持てる。