映画」カテゴリーアーカイブ

『TAKESHIS’』

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新都心へ北野武監督・主演『TAKESHIS’』(2005 松竹)を観に行った。
二枚目の映画俳優として大活躍するたけしと、映画の脇役オーディションに落ち続け、アルバイト生活に明け暮れるアナザーたけしの二人の過去と夢が交錯する不可思議な映画である。お笑いのリーダーとしてマスコミによって作り上げられたピエロ役の「ビートたけし」に違和感を持つ内面の北野武が、過去の思い出であるタクシー運転手時代や映画「HANA-BI」のストーリーに迷い込む荒唐無稽な展開となっている。ふと10年以上前の浪人生時代に読んだ、筒井康隆の「夢の木坂分岐点」という夢の世界を描いた破天荒な小説を思い出した。「世界のタケシ」が作った映画だということで、色々と深読みをしてしまうが、評価は大きく分かれるであろう。

『ALWAYS:三丁目の夕日』

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山崎貴監督『ALWAYS:三丁目の夕日』(2005 東宝)を観に行った。
携帯もパソコンもテレビもなかった昭和33年(1958年)の東京を舞台に暖かい人間ドラマが繰り広げられる。東京タワーの建設と三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)に象徴されるように、「もはや『戦後』でない」新しい時代をたくましく生き抜く団塊の世代の少年時代がディテール細かに描かれている。近所の人々が皆集まってテレビの力道山を応援したり、放課後公園に子どもたちが集まって遊んだり、高度経済成長の中で国の発展と会社の成長を重ね合わせたり、今では少し信じられないような生活がそこにはあったのだ。
主役を務める吉岡秀隆が良い味を出している。人生に行き詰まって悲嘆の涙を流してしまう情けない男を「カッコよく」演じられるのは、日本では彼しかいないだろう。
フラフープや電気冷蔵庫、東京を走るチンチン電車などが、CGによる合成技術により鮮やかに再現されている。そうした映像を観るだけでも面白い。

『春の雪』

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さいたま新都心へ行定勲監督『春の雪』(東宝 2005)を観に行った。
三島由紀夫原作の小説を映画化した作品で、大正時代に入り自由恋愛が大正時代の宮家にまつわる×××××××××

『蝉しぐれ』

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わざわざお台場まで、黒土三男監督・市川染五郎主演『蝉しぐれ』(2005 東宝)を観に行った。
邦画の時代劇はあまり観に行ったことがなかったので期待して出掛けたが、期待が大きかった分だけ損をした気分だ。まずもってセリフが現代語と古語が入り交じっていて、どうしても役者の言い回しが気になって内容にのめり込むことができなかった。「それがし、○○でございまする」といういかにも時代がかったセリフがあったかと思えば、「よし、俺も行こう」だの、「わたし、××です」といった全くの現代語のセリフが続き、ちぐはぐ感が否めない。お笑い芸人を出演させ、観客動員を増やそうという意図は分かるが、それで作品の世界観が壊れてしまっては元も子もないだろう。
また、話の展開も子ども時代のほのかな恋心を大人になっても持ち続けるという純愛が基底にあるのだが、映画だと子どもと大人で配役を替えざるを得ず、その間の時間的な推移もあまり描かれておらず、純愛を貫いたラブストーリーという点でも失敗している。