映画」カテゴリーアーカイブ

『告発のとき』

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地上波で放映された、ポール・ハギス監督、トミー・リー・ジョーンズ主演『告発のとき(In the Valley of Elah)』(2007 米)を観た。
イラク戦争から帰還してすぐに仲間から殺害された米兵の父親
常識が通用しないイラク戦争が若者の心を蝕む

『石炭のおはなし』

福島・いわき市のいわき湯本駅の近くにある、「いわき市石炭・化石館ほるる」で、『石炭のおはなし』(東宝教育映画 1950)を観た。
生活の燃料の主役が石炭から石油に移行する1960年代の前に作られた映画である。古い白黒フィルムの20分の映画で、石炭の活用方法と、採掘の現場の映像が小学生向けにまとめられている。石炭が電気を生み出し、工場を動かし、蒸気機関車の動力源となり、サッカリンなどの薬にもなる国民生活に欠かせないエネルギーであったことを改めて確認した。炭坑の入り口には「出炭救国」の4文字が掲げられていた。
半世紀も前になる炭坑の閉山は、私にとって学校の歴史の教科書で知る「事柄」であった。しかし、かつて炭坑であった「軍艦島」の現在を伝えるテレビ番組などを見て感じたのだが、閉山は炭坑労働者にとって日本の発展を支えてきたという自負の否定であり、生活の全てを炭坑に捧げてきた家族たちの新しい人生の始まりの「ドラマ」である。
「エネルギー革命」という無味無臭な一言で片付けられてきた石炭について、もう少し勉強を深めていきたい。

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『ホルテンさんのはじめての冒険』

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地上波で放映された、ベント・ハーメル監督、ボード・オーヴェ出演『ホルテンさんのはじめての冒険』(2009 Norway)を観た。
鉄道運転士を40年真面目に勤め、いよいよ定年退職の日の朝に限って寝坊してしまうことで、ホルテンさんの不思議な冒険が始まる。「冒険」といっても、未知なる場所へ出かけたり、新しいことにチャレンジしたりするわけではない。ひょんな出会いや偶然を飄々と楽しむ67歳のホルテンさんの姿が描かれるだけである。ロードムービーのようなテイストで、私好みの映画であった。

『大鹿村騒動記』

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地上波で放映された、阪本順治監督、原田芳雄主演『大鹿村騒動記』(東映 2011)を観た。
ちょうど一昨日、舞台となった長野県大鹿村を北端の分杭峠から南端の仏像峠まで縦断したばかりだったので、親しみを感じながら鑑賞した。
大鹿村で江戸時代から300年続く庶民歌舞伎を題材としながら、群像劇風に大鹿村で暮らす人々の暖かい交流が描かれる。
20年近い断絶があっても、同じ村出身の人だからと受け入れてしまう村の寛大さと同時に、20年近い時間が流れても恨みや辛みを忘れることはない田舎の怖さも感じる映画であった。美しい風景も、ハラハラするようなストーリー展開もなく、ただひたすら役者の演技に頼る演出が印象に残った。

『ブラックホーク・ダウン』

地上波で放映された、リドリー・スコット監督、ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー主演『ブラックホーク・ダウン(Black Hawk Down)』(2001 米)を観た。
1993年、ソマリアの内戦に介入した米軍を中心とする多国籍軍とアイディード将軍率いるゲリラとの苛烈な市街戦が展開された「モガディシュの戦闘」を忠実に描いている。1000名を越えるソマリア人と19名のアメリカ兵が命を落とし、2機のヘリ(ブラックホーク)が撃墜され、後にアメリカがソマリアから撤退するきっかけとなった戦闘である。
実際の上映よりも1時間近くカットされていたのであれこれ論評するのは難しいが、映画の解釈は一様ではなく、ドキュメンタリー作品と観るか、戦争の無意味さを描いた社会派作品と観るか、ハリウッド目線の米軍礼賛映画と観るか、人によって大きく評価の分かれる作品であろう。
ただし、その後のソマリアの政情を鑑みるに、得をしたのは武器商売の会社だけだという悲しい歴史の考察の一助にはなるであろう。