陸培春(ル・ペイチュン)『観光コースでないマレーシア・シンガポール』(高文研 1997)をパラパラと読む。
両国とも戦前日本が植民地化した国である。対英国の抵抗軍を騙しつつ,国を乗っ取っていた過程が現地の人々の語りを通して伝わってくる。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『88ヶ国ふたり乗り自転車旅』
宇都宮一成・宇都宮トモ子『88ヶ国ふたり乗り自転車旅:中近東・アフリカ・アジア・ふたたび南米篇』(幻冬舎文庫 2017)を読む。
1997年6月から2007年11月までの10年半をかけてタンデム自転車で世界88ヶ国・105,805kmを走破した旅日記である。二人乗り自転車の快適さや心地よさは伝わってきたが,現地の人たちとささいな事でトラブルになったり,日本円を持ちながらもケチくさい行動が目に余ったりと,読後感はあまり気持ちの良いものではなかった。
「おっ!」と思っても止まれないバスの旅や,スピードが速すぎて見落とすことの多い車・モーターバイクの旅に比べて,自転車の旅は自由と発見に満ちている。今見えているものが,風,匂い,光とともに記憶に沁み込んでゆく。それがおもしろい。だから僕たちは自転車で旅に出た。そして今も走り続けている。
『この一冊で世界史と世界地理が面白いほどわかる!』
歴史の謎研究会編『この一冊で世界史と世界地理が面白いほどわかる!』(青春出版社 2007)を読む。
参考文献のまとめ直しで,50カ国ほどの国の簡単な歴史や政治,文化が紹介されている。
『週末アジアでちょっと幸せ』
下川裕治『週末アジアでちょっと幸せ』(朝日文庫 2012)を読む。
朝日新聞社のウェブサイトに連載されたコラム「週末アジア旅」を元に,新たに書き下ろされたものである。
タイトルにある通り,大それた冒険ではなく,週末に飛行機やバスを乗り継いで名もないアジアの土地をふらっと旅するおじさんの旅行記である。韓国,台湾,マレーシア,シンガポール,中国,沖縄,ベトナム,バンコクの8章で構成されている。その中で,中国の甘粛省とウイグル自治区の境にある星星峡が興味深かった。実際現地に行ったらほとんど人もいない場末の集落に過ぎなかったというオチなのだが,ウイグル自治区と甘粛省の格差や重々しい警備など,現代の中国事情を顕にしている。
『現実を視よ』
柳井正『現実を視よ』(PHP研究所 2012)を読む。
ユニクロを運営するファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の著者が,ユニクロを経営する中で感じた日本人論や政治批判,自由経済のあり方について語る。
タイトルにもある「現実を視よ」という言葉は,以下の流れの中で用いられている。
普及の名著『失敗の本質』をものした野中郁次郎氏にお目にかかったとき,太平洋戦争の敗戦も,バブル期以降の日本の衰退も,その本質は似ている,という話をされた。目の前にある現実を視ないで,過去の成功体験にとらわれて変化を嫌う。論理よりも情緒を優先し,観念論に走るといった特性は,時に取り返しのつかない結果を招く。
軍部の指導者が犯した最も許しがたい「失敗」は,若者に特攻を命じたことである。もはや日本の敗戦は明らかだった戦争末期まで,それは続けられた。肉弾を持ってすれば,米軍の圧倒的な物量に抗せる,彼我の技術力の差を覆すことができると行った,まさに現実を直視しない根拠のない観念論で,あたら有為の若者を大勢死なせてしまったのである。
しかも,司令官,指揮官クラスのエリートは「自分もあとから行く」と言っておきながら,敗戦が決まると責任をとることもないまま,今度は日本復興のために尽力する,と180度,態度を変えた。全員がそうだったわけではないが,特攻については黙して語らずという態度をとった者が多かった。
(中略)こうした無責任さを日本人特有の悪弊として考えたくはないが,発言をコロコロ変えて平然としている現代の政治家たちの姿を見ていると,太平洋戦争の「失敗」に何も学んでいないのではないかと言いたくなる。いま必要なのは,現実を直視すること。
時代を切り拓く経営者として,過去の成功に囚われ,批判や躓きを先送りにする態度は,取り返しのつかない結果を招くことにもなる。
かといって,いたずらに目新しいことに飛びつき,変えることが主眼となっても行けない。柳井氏の述べるように,現実の問題や数字から出発し,変えるべきは変える,変えないものは変えないという大局的な判断が必要である。また,そうした判断を人任せにするのではなく,社員一人ひとりが下していく経営者感覚が求められる。
しかし,本書全体を通して,PHP研究所刊行の本なので致し方ないが,松下幸之助を全幅的に讃え,当時与党だった民主党の政策全てをこき下ろす一方的な見解の押し売りは頂けない。
ん,「全幅的」って言葉あったけ?
