『「学校が変わる」のウソ ホント:』

岡崎勝『「学校が変わる」のウソ ホント:「新学習指導要領」って何だ?』(風媒社 2001)を読む。
名古屋市の一小学校教員の立場から、現行学習指導要領に基づいた教育改革について私見を加えている。大人と変わらない論理で動いている生徒同士の関係が渦巻く教室の中に、文科省は「子どもの論理」を押しつけようとしている矛盾を著者は指摘している。「差別のない社会」「元気な子ども」と自治体や教育委員会はスローガンを作成するが、「差別のなくならない社会」「悩み、傷つきやすい子ども」にしっかり向き合うことから社会観、教育観は形成されねばならない。

学級が崩壊したらどうするか? 親としては子どもの話を聞くしかありません。それも自分の子どもだけでなく、複数の子どもと親が集まりきちんと現実を認識することからはじめたらいいでしょう。どうも、親も子も、みんな格好つけたがり、自分は無関係だと思いたいのでしょうか。数人の子どもの悪口をいいながら、自分の子どもは関係ないという話が続きます。しかし、学級の中で子どもたちが根本のところで孤立してしまっているから崩壊できるのです。一見すると仲がよさそうに崩壊ごっこをしている子どもたちも、その関係はあいまいで不安定で、いつ自分がいじめられたり排除されるかという不安に恐れているのが普通ではないでしょうか? そんな子どもの心情を理解するということはとても大切です。ボクは何もやさしい言葉をかけてあげようとか、やさしく見守ろうとか、理解すればいいんだ、ということだけをいっているのではありません。逆に、急に子どもの立場に立ってみようとか、子どものストレスを理解しようとするような、子ども主義の態度はかえって良くないのだと思ってすらいます。なぜなら、学級はユートピアではありません。どろどろの人間の関係性から逃れられません。

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