『介護入門』

第131回芥川賞を受賞した,モブ・ノリオ『介護入門』(文藝春秋 2004)を読む。
改行のほとんどない文章で,「私」の心理描写が連綿と続き,小説というよりも日記文学に近い作品に仕上がっている。自分の生活の全てを犠牲にしてまで祖母の介護に尽くす精神的なストレスを抱え,大麻や音楽に溺れる昼夜逆転の生活の中から,徐々に介護をすることで30歳を過ぎた自分のアイデンティティを見つけようとする心模様が展開される。
著者モブ・ノリオ氏は製本された本としてはこの作品しか発表していないようだが,次作も是非読んでみたい。

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