『進化を忘れた動物たち』

今泉忠明『進化を忘れた動物たち』(講談社現代新書,1989)をパラパラと読む。
中世代のままの姿を保っているシーラカンスやオオサンショウウオ、コモドオオトカゲなどが紹介されている。新生代以降の大陸移動によって、天敵がいなくなったり、離れ小島で独自の生態系を生き延びたりしたケースが多いようだ。
有名なガラパゴス諸島の海イグアナは、ゾウガメが生きている冷凍肉として大量に海賊船に積み込まれた一方、外見のまずさで人間に食われずに済んだ。また、海イグアナは体温が35~37度であるが、海に長時間潜ることができる。ガラパゴス諸島周辺はフンボルト海流に影響で、海水温は10度足らずである。そのため、日中の多くを甲羅干しで体温を上げる必要がある。海イグアナの祖先は南米の森林に棲んでいた陸イグアナであろうが、南米にいたものは絶滅して、ガラパゴス諸島に流れ着いたものだけが、数千万年かけて独自の進化をしたと考えられている。

他にも、奇妙な進化をした哺乳類として、カモノハシやジャイアントパンダ、ミツユビナマケモノなどが取り上げられている。