『地球の科学』

関利一郎・稲盛潤・木村達明編著『新訂 地球の科学』(秀潤社,1981)を読む。
重要語が太文字ゴシック体になっており、大学の教養課程における地学の教科書を想定した内容となっている。現在では中学高校の教科書に書かれるプレートテクトニクスや地震の仕組みなどが、研究の途上にあると詳細には記されていない。地球科学は理論よりも計測の結果が重視されるので、理論物理の宇宙よりも証明が難しいのかもしれない。
参考になるところがたくさんあったので、まとめておきたい。

  • 地球表面は、風化や浸食などの外的エネルギーと地震や火山などの内的エネルギーの働きが互いに複雑に絡み合って作られている。外的エネルギーは全て太陽放射エネルギーによって作られ、内的エネルギーはプレートテクトニクスによって全て説明がつく。
  • スカンジナビア山脈は標高2000メートルを超えるが、数万年前の氷期には厚い氷におおわれて大地全体が押しつぶされていた。数万年前から氷が解け始め、年に数センチメートル程度上昇を続けている。これまでに500メートル以上上昇したが、これからもなお200メートルぐらいは上昇すると推定されている。
  • 最近、太陽光フィルムのペロブスカイトが注目されている。橄欖(カンラン)石Mg2SiO4が分解されると、MgSiO3のペロブスカイトが生成される。
  • 大陸移動説そのものは17世紀から議論されてきたが、アルフレート・ヴェーゲナーが著書『大陸と海洋の起源』(1915年)において地質学や古生物学、古気候学などの研究成果を体系化した。しかし、大陸が移動する仕組みの根拠が薄かったため、1930年代には大陸移動説を支持する学者はほとんどいなくなった。大陸移動説が再び脚光を浴びたのは、ウェーゲナーの死後、1950年代になってからである。
  • マントル上部の固い部分をリソスフェアというが、岩石圏と和訳することもある。また、マントル下部の柔らかい部分をアセノスフェアを岩流圏と訳すこともある。