本日の東京新聞朝刊に、リトアニアにある杉原千畝記念館が新型コロナウイルス流行のあおりで閉館の危機に陥っているとの記事が掲載されていた。
そもそもリトアニアといってもピンとこない人が多いかもしれない。ロシアとスェーデンに挟まれたバルト海に面した小さい国である。北海道を二回りほど小さくした国で、人口も北海道の半分弱の280万人となっている。隣国のエストニアやラトヴィアと同じく、周囲のドイツやポーランド、ロシアに振り回された歴史がある。1990年にソ連から独立し、2004年にはEUおよびNATOに加盟している。
記事中の杉原千畝であるが、第二次大戦中のリトアニアの日本領事館員の時に、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとしたユダヤ人に日本通過のビザを発効し、ユダヤ人の命を救ったということで「東洋のシンドラー」と呼ばれている。リトアニアはソ連に併合され、日本領事館も閉鎖に追い込まれるのだが、杉原は出発のギリギリまでビザを発行し続けた。しかし、その行動は外務省の命令に違反したものだったので、帰国後に杉原は解職されることになった。
日本から遠い国だが、バルト海を挟んだヨーロッパの歴史を語る際には外せない国である。