「イラン,英タンカー拿捕」

本日の東京新聞夕刊から。
記事によると,サウジアラビアへ向かっていた英国のタンカーが,ホルムズ海峡でイランに拿捕され,トランプ米国政権がホルムズ海峡を通る民間船舶を護衛するための有志連合の結成を呼びかけている。ネットの情報によると,英国はすでに駆逐艦1隻の急派を決めたという。

この記事の背景に英国の世界戦略があることを忘れてはいけない。「ユニオンジャックの矢」という考えが国際政治学にある。英国はロンドンから,アラブ首長国連邦の首都ドバイ,インドのハイテク産業の中心地のバンガロール,マラッカ海峡の要衝に位置するシンガポール,鉄鉱石や石炭などの資源に恵まれるオーストラリアへと勢力を拡大しつつ,その域内で人や物,金を回してきた。英語を話すインド人が中東やマレー半島に多く住むというのも英国の世界戦略の結果である。

今回のホルムズ海峡でのいざこざは,英国外交の生命線であるユニオンジャックの矢のど真ん中で発生している。BPやシェルなどの国際石油資本を抱える英国が本領を発揮する場面である。トランプ米国大統領のスタンドプレーの陰に隠れた英国の動きに注目していきたい。