戸田藤成『武器と防具 日本編』(新紀元社 1994)をパラパラと眺める。
「人を傷つけたり、殺したりすることを目的とした道具」である武器だが、一方で「権力を象徴したり、あるいは美術工芸的な価値を生み出したり」様々な側面を持つ。特に、「製造技術においては常に時代をリードする役目を果たし」、社会の進化を支えてきたという点は一概には否定できない事実である。
この本では武器を」打つ・叩く・割る」「投げる」「突く・薙ぎ斬る」「斬る」「射る」「撃つ」「防ぐ」「忍ぶ」「捕る」の9つに分類し、それぞれの武器の特徴や実際の使用についてイラスト入りで詳細に説明がなされる。あまりにマニアック過ぎて、武器の名前とイラストを眺めるだけであったが、鎹(かすがい)や錣(しころ)、苦無(くない)など、言葉としては分かっていた武器を少しだけ理解することができた。
また、槍は戦国時代には「一番槍の功名」とも称され、武士にとって最高ランクの活躍の証ともなった。江戸時代に入ると次第に象徴性を帯び、自分の槍を持つことが武将として部下を率いて名を成すことを意味するようになり、戦国以来の先祖代々の武勲を受け継ぐ武家の格式を表す象徴となっていった。