芝生瑞和『図説フランス革命』(河出書房新社 1989)をパラパラと眺める。
見返しに1793年に制定された革命暦の若い女性のイメージ絵が掲載されているのが興味深かった。革命暦は30日を1ヶ月とする12ヶ月で、10進法に基づき10日で1週間となっている。「隷属の記念碑」であった過去の暦を捨て去り、理性に基づいた自然の摂理を表現したのだが、わずか10数年で廃止に追い込まれる。ラフィットが描いた、テルミドール(熱月)からブリュメール(霧月)までの12枚のイメージで、理知的な表情とはちきれんばかりの豊満な身体のアンバランスさに目が奪われる。
未だに元号をありがたがる日本だと、暦と若い女性という組み合わせには違和感を覚える人が多いかもしれない。神聖なる天皇が時を支配するというしきたりがまだ抜けていないのだろうか。今年一年は「平成最後の~」がテレビや新聞などで繰り返された。もうしばらくフィーバーは続きそうだが、元号が国民統合装置として使われるというのは、「革命暦」が意図的に導入されたのと同じ構造である。