月別アーカイブ: 2024年8月

『歌舞伎町裏街道』

久保博司『歌舞伎町裏街道』(幻冬社アウトロー文庫,2010)をパラパラと読む。
今はトー横と呼ばれているコマ劇前を中心とした歌舞伎町で暗躍する暴力団や中国マフィア、ぼったくりバー、コリアンタウン、地下カジノなどの実態にせまる。

出版の都合があったのだろうか、舞台は1997年の新宿であある。中国が大きく経済成長する前であり、まだ一人っ子政策が続いていた頃である。そのため、改革・開放政策にともなって、農村から都会に出稼ぎに来た「民工」のうち仕事にあぶれた者は「流氓」と呼ばれ、戸籍のない者も多く含まれていた。当時は円高だったので、香港マフィアによって日本に出稼ぎにくる流氓が跡を絶たなかった頃の話である。

ちなみに、中国マフィアは清朝に抵抗する漢民族の政治結社「三合会」の流れを汲むという。

輪行準備?

今年のお盆は、台風、地震、猛暑の3つの警報があり、自転車旅はお休みすることになった。といっても日帰りはできるので、明日は鬼怒川温泉の先まで輪行で出かけようと思う。

子どもの自転車を輪行袋に収めようとしたところ、エンド金具もナイロンストラップも見つからなかったので、急遽ディレーラーごと外して、ビニールテープでぐるぐる巻きにした。ディレーラーハンガーが曲がることもあり、正直おすすめできる方法ではない。

今夏は通信制大学の「再々提出」のレポートと、お盆明けの管外研修のレジュメを抱えており、少し慌ただしいが、しっかりと気分転換をしたい。

『化石探検』

福田芳生『化石探検:Part.2鳥類からシーラカンスまで』(同文書院,1989)をパラパラと読む。
2分冊のうちの2分冊目で、約2億3000年前から始まる中世代、約6500万年前から始まる新生代の、昆虫や鳥類、恐竜、哺乳類、被子植物、猿人までの化石が紹介されている。一片の化石からその生き物がどのような物を食べ、どのような気候や環境に生きたのかを探るというのは面白い作業なのであろう。しかし、どうしても化石や生物に興味のない自分を発見してしまう。

7000年前に滅びたはずのシーラカンスがアフリカ大陸とマダガスカル島に挟まれたコモロ諸島で発見されたという話は、内田康夫の小説『シーラカンス殺人事件』で知っていたが、強烈な異臭を放つシーラカンスの死骸をタクシーで運ぼうとしたり、解剖したりする努力があったのである。

『歴史の古い都市群1』

夏休みの14冊目

藤岡謙二郎『歴史の古い都市群1:東京とその周辺の都市』(大明堂,1984)をパラパラと読む。
地理学の専門書で、分野としては歴史地理学の分野になるのであろう。執筆者も地理学だけでなく、歴史学の専門家も名前を連ねている。主に江戸時代以降の地形や鉄道や運河などの交通網の開発などから、東京、横浜だけでなく、鎌倉、府中、石岡、川越、銚子、関宿・境、水戸、前橋などの都市の発展が論じられている。

昭和の初期までは、水戸や前橋、高崎、行田、佐倉など、江戸時代の頃の城下町や宿場町が発展したが、高度経済成長以後、那珂湊や佐原、木更津、龍ヶ崎、桐生など、高速道路のインター近くやや鉄道の駅が増えてくる。

かつては隅田川で大学のボートレースが行われていたが、1960年代から隅田川の汚染がひどく、大学クルーの漕艇場は次々と戸田へ引っ越して行った。それが復活したのが、1978年の早慶対抗戦からであった。

現在はダウン・タウンというような意味で、「山の手・下町」とが対立的に考えられているが、江戸以来の「山の手」に対する「下町」は、千代田の城の下に広がっていた、誇り高き「城下」の町を指していったものであった。

『ネット王子とケータイ姫』

夏休みの13冊目

香山リカ+森健『ネット王子とケータイ姫』(中公新書ラクレ,2004)をパラパラと読む。
2004年6月に長崎県佐世保市の小学校内で、6年生の女児が同級生を殺害した事件の背景にインターネットの書き込みトラブルがあったという書き出しで始まる。ネットが犯罪を誘発しているのではないか、ネットは子どもの成長によくない、ケータイ友達が危険な人間関係を作り出す、ゲーム依存症は暴力性を生むといったネットやケータイに対する批判を取り上げ、そうした批判を生み出してしまう日本の社会や教育の貧困を批判するという内容である。といっても、これといった解決策はなく、ネットやケータイはあくまで道具であり、生身の親子関係、友達関係を十分に作ることが大切であると述べる。