月別アーカイブ: 2022年9月

「ヒマラヤ越えの鉄道!?」

本日の東京新聞夕刊にヒマラヤを越えて中国チベット自治区とネパールの首都カトマンズを繋ぐ鉄道計画が報じられていた。正直カトマンズまで鉄道路線を敷いたところで、飛行機の方が圧倒的に利便性が高く、観光客は限られるであろう。一帯一路経済圏を拡大しようとする中国側の物流網の整備という思惑が強く働いているのであろう。

むしろ、私が気になったのが今も隆起が続くヒマラヤ山脈で、線路を敷くが可能なのかという疑問である。ネットで調べたところ、以下のような計測結果があるとのこと。

  • 1954年のインドの測量による「8848m」
  • 1975年の中国の登山隊が計測した「8848.13m」
  • 1999年にアメリカの調査隊がGPS(全地球測位システム)による調査結果として発表した「8850m」
  • 2005年に中国が再計測して発表した「8844.43m」
  • 2020年に中国とネパール両国が公式に共同発表した「8848.862m」

計測方法でばらつきはあるものの、およそ100年間で1m近く隆起していることが分かる。ヒマラヤ山脈は、約4000万年前に、インドプレートに乗っかってアフリカ大陸から切り離されたインド半島が、ユーラシアプレートに衝突して隆起した山脈である。そして現在もインドプレートは、インド洋南部の海嶺の動きによってユーラシアプレートに圧力をかけ続けている。これほど成長著しい山脈にトンネルや鉄橋を建設するのは極めて危険である。

また、地球温暖化によりヒマラヤ山脈の万年雪や氷河が溶け始めている。授業中にも紹介したパキスタンでのインダス川の氾濫の要因にヒマラヤ山脈の気温上昇が挙げられている。地震だけでなく、温暖化の2つの危険があり、ヒマラヤ越えの鉄道建設は「無謀」と言わざるを得ない。

『トップガン マーヴェリック』

トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』(2022 米)を浦和のPARCOへ観に行った。
事前に旧作を観て予習していたこともあり、すんなりと話の流れが入ってきて、旧作とよく似たカットなど楽しむことができた。前作からの続きというよりも、60歳の大台に乗ったトム・クルーズが若者に負けない身体と闘争心を剥き出しにする姿に、中高年はメロメロである。

往年のハリウッド映画のパワーを感じる作品であり、派手なアクションシーンと恋愛がセットになったエンターテイメントに加えて、音楽までそのままサントラCDで販売できそうなほどのクオリティである。

『図解 新東京探訪コース』

五百沢智也『図解 新東京探訪コース』(岩波ジュニア新書 1988)をパラパラと読む。
著者は東京教育大学理学部地学科地理学専攻を卒業し、山岳・氷河地形研究者で、山岳鳥瞰図作家としても知られている。

そのため、東京の観光案内なのに東京の地形の成り立ちに関する章から始まっている。最後は竹下通りや東京ディズニーランドなどの観光案内も入ってくるのだが、江戸時代の名残を探したり、侵食地形を辿ったりと元祖ブラタモリ的内容となっている。

地質時代の、ごく新しい、ここ150万年ぐらいの間を第四紀というが、そのうち、一番新しい時代を沖積制、それ以前を洪積世と、区別して呼んでいる。洪積世は、ヨーロッパ大陸にノアの洪水が運んだと考えられていた巨大な岩塊まじりの土砂が堆積した時代という意味でつけられた呼び名である。

「紅海に緑の防波堤を」

本日の東京新聞夕刊に、中東の紅海沿岸でマングローブ林の植樹が進んでいるとの記事が掲載されていた。マングローブは海水と淡水が入り混じる汽水域に生息するため、高潮被害や沿岸の侵食を防ぐ防波堤の役割を果たす。また、二酸化炭素を取り込む量が多いため、地球温暖化のブレーキ役も期待されている。また貝やエビなどの豊かな生態系を育むことでも知られている。

また熱帯や亜熱帯を好むので、日本では沖縄県と鹿児島県の島嶼地域だけに生息する。修学旅行の引率でマングローブ林を散策したことがあるが、陸地をガッチリと守ってくれるような頼もしさすら感じたことを記憶している。