月別アーカイブ: 2021年12月

「ウイグル産品 禁輸法案可決」

本日の東京新聞朝刊から。
午後は近隣の中学校で、5分程度授業を行った。当日の朝刊記事を使って、地理教員が北京オリンピックの外交ボイコットの背景を説明するという、半分自分が楽しみながらの授業となった。

みなさんは中学校2年生、今日本地理を勉強していますよね。では社会の授業の復習をします。太平洋側と内陸側のどちらが降水量が多いでしょうか。静岡県の年間平均降水量は2400mm、埼玉は1300mmくらい、内陸の長野県松本市は1100mmくらいです。かなり差がありますね。
内陸の長野県や山梨県では、乾燥に強い葡萄が有名ですね。

高校の地理は世界を扱います。日本の面積の約25倍くらいある中国を見てましょう。中国の海側は米を作っています。では内陸では? 内陸のタリム盆地の年間平均降水量は30mmほどです。これしか降水量がないと、米は作れません。この砂漠を含む新疆ウイグル自治区は綿花を作っています。綿花は中国が世界の生産量第1位で、その90%くらいが内陸で生産されています。綿花から作られるのは衣料品ですよね。

では、記事を見てください。新疆ウイグル自治区ではイスラム教が信仰され、中国政府から宗教を止めろという弾圧を受けています。また衣服の工場では強制労働が指摘されています。そこで、米国のバイデン大統領を中心とする勢力は中国の新疆ウイグル自治区で生産される衣料品を輸入ないような圧力をかけています。

『7つの大地震』

守屋喜久夫『7つの大地震:現地レポート』(新潮社 1982)をパラパラと読む。
1978年のイラン・タバス地震に始まり、1980年のアルジェリア・エルアスナム地震、同年のイタリア南部地震、1979年のユーゴスラビア地震のほか、イタリア・フリウリ地震、ルーマニアやトルコの地震が取り上げられている。

この手の地震の本は参考文献の切り貼りですぐに飽きてしまうのだが、本書は実際に混乱している国に著者自身が入国し、ビザの取得や交通の混乱など、震災の現場まで辿り着くまでのドタバタも描かれている。著者は学生時代に日本大学を代表し箱根駅伝にも3度出場している経歴の持ち主で、仕事というよりも好奇心に突き動かされて、次から次へと地震現場を駆け回っている。

7つの大地震全てが、中東から地中海沿岸にかけての”新期造山帯≒狭まるプレート境界”で発生しており、アフリカプレートやアラビアプレートが、ユーラシアプレートやエーゲ海・アナトリアプレート、イランプレートとおしくらまんじゅう状態になっている様子に想像がおよぶ。

「国は追われてもペンは離さず」

本日の東京新聞夕刊記事より。
本日の授業でロシアの資源外交と併せてパイプラインが設置されている国や地域の政治・経済が歪められるという話をした。ロシア国内のチェチェン共和国の

暗殺・不審死が後を絶たない。

「ジャワ島で噴火 14人死亡」

本日の東京新聞朝刊より。
インドネシアのジャワ島で大規模な火山噴火が発生したとのこと。
1学期に学習した内容となるが、地震や火山は大陸プレートと海洋プレートがずれ合う「狭まる境界」で頻発する。図示したようにジャワ島はインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界に位置する。そのため、ジャワ島は日本列島と同様にねじ曲がった「弧状列島」となっている。

「文化に商機 イランからオマーンへ移住続々」

本日の東京新聞朝刊より。
昨日のイランとオマーンの良好な関係に関する記事の続編である。
記事の最後にオマーンがドバイに似て開発の余地があるというところが引っかかったので、オマーン統計データを調べてみた。

オマーンの合計特殊出生率は2.8人(2020)であり、緩やかな人口増加となっている。ところが、オマーンの人口統計は以下のグラフにあるように、この20年間で約230万人から約510万人と2倍以上の伸びを示している。

それにしても、合計特殊出生率が2.8人なのに、なぜこれほど人口が増加しているのであろうか。
疑問に思って、ネットを検索してみた。すると、以下のような歪んだ人口ピラミッドの統計(2020)が掲載されていた。20〜25歳くらいで海外へ働きに出掛けるとすると、ちょうど20年ほど前から一気に移民が増加したと考えられる。印僑が多い中東諸でよくみられる人口ピラミッドである。