新星出版社編集部『まるごと覚える 気象予報士試験 ポイントレッスン』(新星出版社 2005)を読む。
前半は気象についての基礎知識で、後半は気象予報試験対策や気象予報士に関する法律の解説となっている。後半は読み飛ばしたが、前半の基礎知識編では、大気大循環や台風やモンスーン、季節ごとの特徴など、教材研究に役立った。
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『福沢諭吉』
高橋昌郎『福沢諭吉:明治知識人の理想と現実』(清水書院 1978)を読む。
福沢諭吉の人物伝であるが、後半は福沢諭吉の宗教観について丁寧に説明されている。福沢諭吉に関する本というと、慶応大学出身者の手による諭吉礼賛のものが多い。しかし、本書の著者高橋氏は東大出身であり、福沢諭吉の時流の判断ミスや思想的限界について指摘する。
福沢諭吉というと、江戸時代以前の儒教精神を完全に否定し、キリスト教や西欧資本主義を積極的に受容していたというイメージがある。しかし、明治の後半に入り、農家の没落や貧富の差の拡大を目の当たりにし、宗教的なバックボーンに根ざした「独立自尊」のあり方を説くようになる。
閉校寸前にまで追い込まれた慶應義塾の立て直しや、教科書を用いた授業のスタイルの確立、田舎の子どもたちにこそ教育が大事だと述べるなど、教育者としての福沢諭吉の顔が理解できた。
『徳川慶喜』
加来耕三監修・著『徳川慶喜:将軍としての幕末、人間としての明治』(光文社文庫 1997)を読む。
小難しい歴史書ではなく、写真満載の読みやすい人物伝である。しかし、文章は読みやすかったが、慶喜という人物の姿は読みにくかった。「烈公」と称された一本気な徳川斉昭のもとで育ちながらも、時代の潮流に翻弄され、逃げ回る慶喜の生き方は簡単に肯定できるものではない。安易な人物評価でなく、史的検証が必要であろう。
ライド・イベント
『相撲ウォッチング』
S・W・A(鹿熊勤)『相撲ウォッチング』(ブロンズ新社 1992)を読む。
貴花田が売出し中で相撲人気が沸騰していた頃に刊行されており、その後に明らかになる相撲の負の面は一切省かれ、相撲人気に肖った相撲入門書である。相撲の決まり手(執筆当時は77)の解説は興味深かった。相撲が押し出しや突き倒し、上手投げなどの力技だけではなく、相手の虚をついた肩透かしや褄取り、一本背負いなど、小柄な力士でも使える技が採用されているのは意外だった。