藤井貞和『古文の読みかた』(岩波ジュニア新書 1984)をパラパラと読み返す。
中高生向けのジュニア新書であるが,古文の面白さや魅力というよりも,文法的な説明が大半を占めており,高校生にとっては気詰まりな内容である。高校古典文法の中では一番難しいといっても過言ではない,接続助詞と格助詞の「が・に・を」の識別であるが,元々全て格助詞であったのが接続助詞に変化したとのこと。とりわけ「に」は,格助詞も接続助詞も断定の助動詞連用形も形容動詞の連用形も格助詞の「にて」もすべて同一の語であり,使われ方が複雑になるとともに分化してきたものである。但し,完了の助動詞の「に」だけは別物であるという。
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『EU崩壊』
木村正人『木村正人』(新潮新書 2013)をパラパラと読む。
ギリシア危機に端を発したEU内部の軋みを丁寧に追っている。多文化主義と関税なき単一市場の拡大を意図したEUであるが,ドイツとフランスの覇権争いが足を引っ張り,さらに難民流入やイスラム原理主義者によるテロ攻撃,ロシアマネーなどに翻弄され,各国で反EU・排外主義を掲げる急進右翼に悩まされ,にっちもさっちもいかなくなってしまったEUの実態について述べる。政治ネタばかりで肝心のヨーロッパで暮らす人々の生活や文化は見えてこなかったが,2013年段階でイギリスのEU離脱「BREXIT」を予期していたのは慧眼である。
『アジアマリファナ旅行』
谷口狂至『アジアマリファナ旅行』(彩図社 2015)を読む。
カンボジア・プノンペンでマリファナ三昧で引きこもり生活を続ける著者が,アジア各地を周りながらマリファナの入手先や売人との出会いを紹介する。乾燥大麻や大麻樹脂(ハシシ,チョコ)だけでなく,効き目が強い液体大麻まで経験し,タイヤラオスなどの東南アジアだけでなく,インドやバングラディッシュ,パキスタン,チベットとの国境沿いのヒマラヤまで旅する。
ウィキペディアで調べたところ,マリファナの原料であるアサは生育速度と環境順応性の高さから、熱帯から寒冷地まで世界中ほとんどの地域に定着しており,日本でも古来自生しており、神道との関係も深いという。また,アサは生育が速い一年草であり、生育の際に多量の二酸化炭素を消費し、繊維質から様々な物が作れるため、地球規模での環境保護になるという意見もあり、実際にバイオマス原料植物として各国で研究・実用化が始まっているそうだ。
他国でも医薬品や穏当な嗜好品として合法化される動きが加速化しており,さらに環境に良いというと,一概に否定はできない存在となっている。