日別アーカイブ: 2010年4月5日

「北朝鮮の有事の危険度」

本日の東京新聞朝刊に「北朝鮮の有事の危険度」と題したコラムが掲載されていた。
日本のマスコミでは、脱北家族の報道などで事あるごとに、北朝鮮の兵力や政治体制の脅威が強調される。しかし、現状は、戦闘機のほとんどが旧世代の代物、実際の戦闘では使い物にならず、兵士も栄養失調や士気の低下が著しいとされている。そして、現在取りざたされている沖縄米軍基地の一番の存在理由として挙げられる北朝鮮有事について次のように述べられている。

(北朝鮮の)核兵器に対しては海兵隊は無力であり、通常兵器での有事の際には 「韓国軍と駐留米軍で防御可能」という。即戦力として投入できる沖縄駐留海兵隊員は約二千人とされ、現実的には「本格的な戦闘は困難。もっぱら韓国や日本、中国などに住む米国人救出部隊となる」といわれる。
北朝鮮に対する「牽制効果」としての海兵隊についても、「牽制効果なら、海兵隊がいなくても日本にいる米陸海空軍の兵力だけで十分」という意見は米国防総省内にもある。

コラムのあとがき、東京新聞記者によるデスクメモが印象に残った。

北朝鮮はミサイルや核を開発し、危機感をあおって食料などの見返りを得てきた。旧態依然とした瀬戸際戦術だが、米国は北東アジア安定のためと称して日韓に長期駐留し、中国は不透明な軍事力増強を続けている。ニワトリと卵の関係ではないが、本当は誰がこの地域を不安定にしているのだろうか。

本日の東京新聞夕刊に、朝刊の疑問に答えるようなコラムが掲載されていた。
名古屋大学特任教授で、外務省の「朝鮮議事録」に関する文書公開に携わった春名幹男氏は次のように述べる。

この(昨秋来の)日米協議で、米側は朝鮮半島有事の際の対応に関して、あらためて佐藤首相の「公約」(朝鮮半島有事の際、在日米軍は事前協議無しに軍事行動 を起こすことを日本政府が当時同意していたという事実)の再確認を求めたようだ。これについて、日本側(鳩山民主党政権)は事前協議に対して「迅速かつ適切に」対応するとの新しい方針示したというのだ。
(中略)また、岡田克也外相自身も米国の「核抑止力」を肯定し、核兵器の存否を「肯定も否定もしない」米政府への支持を表明、米側を安心させた。
密約の相対的重要性は時代とともに変化する。今後は朝鮮有事への対応に関する政策調整が日米の課題となる。