貞静学園短期大学のパンフレットを読む。
文京区茗荷谷にある貞静学園中学高等学校に併設されている貞静学園保育福祉専門学校から,保育課程が独立し,来年4月より新たに短期大学として生まれ変わる。そのためパンフレットも学校紹介のイメージ写真が並ぶかわいらしいものである。選考方法であるが,一般入試20名に対し,指定校推薦が100名,公募推薦が20名,AOが10名となっている。保育福祉専門学校に介護福祉課程を残し,保育のみを短大に移行させるというのは近年の受験生の動向を考慮するに無難な選択であろう。
月別アーカイブ: 2008年11月
パンフレット研究:聖学院大学
埼玉県上尾市の外れにあるキリスト教の大学である。数年前の夏,司書教諭講習に25日間通った私の第2の母校でもある。当時,バイクで通っていて,構内で突然オイルが噴き出してしまい,バイク屋に引き取りに来てもらってメインジェットを交換したりと思い出も深い。
「面倒見の良い大学。入って伸びる大学。」を宣伝文句としており,徹底した少人数教育を図っている。政治経済学部,人文学部,人間福祉学部の3学部からなり,一学年700名弱のこぢんまりとした学校である。推薦入試もAO入試も倍率は2倍を超えておらず,比較的入りやすいが,全学科できちんと定員は確保されている。母体そのものが少ないこともあるが,昨年の社会福祉士国家試験では合格率では68%で私大1位を取ったとのこと。あまりがつがつせず,品の良いキリスト教系の高校のような雰囲気を醸し出している学校である。
聖学院大学がセンター入試を導入しない理由として,「聖学院大学はキリスト教大学ですので教職員が日曜礼拝を守るという立場から日曜日に入試を行なうことを開学以来してきませんでした。センター試験を導入することは,大学を試験会場として提供するだけでなく教職員が試験監督として働く仕組みとなっていますので,本学のアイデンティティであるキリスト教学校のよき伝統と相反することとなります」と丁寧に述べられている。
パンフレット研究:流通経済大学
ペリカン便でお馴染みの日本通運が母体となって,1965年に創設された新しい大学である。流通や物流のビジネスの発展を開学の目的の置いており,実学主義・少人数主義の徹底を貫いている。現在では経済学部,社会学部,流通情報学部,法学部,そしてスポーツ健康科学部の5学部からなる中規模総合大学へと変貌を遂げてる。
茨城県の竜ケ崎キャンパスと千葉県にある新松戸キャンパスの2つからキャンパスを選択するシステムになっており,両キャンパスに同じ科目が設置されている。重点部としてサッカー,ラグビー,硬式野球,柔道,剣道,駅伝,アメリカンフットボールなどが指定されており,これらの部に所属する学生は竜ケ崎キャンパスで寮生活を送り,4年間競技に集中できる環境が用意されている。他大学のように法学部や商学部の中にスポーツコースを設けるよりも,スポーツ健康科学部を設置してずばり「アスリート養成」を謳うのはすっきりとして感じが良い。
聞くところによると,ギャルやギャル男といった地元の派手な学生が多いということだ。付属の柏高校からの進学者もほとんどいないようだ。学部再編も含めた思い切った改革が必要であろう。
新松戸キャンパスの紹介ページに「近代的でありながら解放感あふれるモダンなキャンパス」と誤植があった。たった一文字であるが,感性に訴えるパンフレットなので印象は悪い。
パンフレット研究:日本文化大学
八王子の隣駅片倉から歩いて5分の場所にある,定員200名,法学部のみの小規模な単科大学である。室町時代に創設された学塾「柏樹書院」の600年の伝統と実績を受け継ぐ大学というのが宣伝文句であり,古事記や万葉集などの古典講読,茶道や剣道といった日本文化に関する授業を通じてリーガルマインドを学ぶというユニークな教育をとっている。
しかし,集まってくる学生は「多士済々」であり,勉強があまり好きではない受験生に狙いを絞ったためか,自由なスタイルを前面に押し出す通信制高校のようなパンフレットで,女子専用のパウダールームやカフェテリア,展望ラウンジといったおしゃれな施設紹介の写真が多い。また在学生も「お茶の時間にはなんと抹茶とお菓子が食べれます(笑)。学校内のパウダールームは大きな鏡があってとってもキレイだし,大きなホールはいかにも”大学”ってカンジ。」と気さくな意見を寄せている。
学歴不問の公務員や警察官を志望する学生が多く,カリキュラムも「警察学」や「少年非行論」といった科目が並ぶ。保護者同伴の入学説明会もあり,何も目標が見つけられない子どもを抱える近隣の親にとっては,一つの選択肢となるであろう。一般入試だけで9回もチャンスがあり,希望さえすれば合格は確実である。
パンフレット研究:国士舘大学
国士舘大学のパンフレットを読む。
受験界でさんざん言い尽くされてきた中堅校レベルの代名詞ともなっている「大東亜帝国」の一角を占める全国区の大学である。政経学部,体育学部,理工学部,法学部,文学部そして21世紀アジア学部の6学部からなり,学生数は1万3千人を超える。今年の北京五輪で柔道無差別で金メダルを受賞した石井選手やサッカー部の活躍が目立つ。
元々は頭山満を代表とする右派政治団体玄洋社の流れを組むが,パンフレットを読む限り,研究所の一部に「真の日本人,国士の養成機関」「日本建設および世界平和…」といった大東亜共栄圏の現代版のようなニュアンスを感じるが,右派的な雰囲気はほとんど感じられない。
学生数も多いため,学部学科ごとに世田谷キャンパス,鶴川キャンパス,多摩キャンパスと3つに分かれざるを得ず,中規模大学のような大学としての統一感には欠ける。世田谷キャンパスは地の利も良く,学生募集もうまくいっているようだ。しかし,同じ学部でも学科で大きな差があり,初等教育では5倍を超える一方,中国文学科のように全入試日程で1倍の学科もある。その中でも21世紀アジア学部は鶴川キャンパスという山の中に追いやられ,受験生も集まらず,スポーツプログラムを開設するなど方向性を見失っている。