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「原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ」

本日の東京新聞朝刊一面より

脱原発や自然エネルギーを推進する民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は十日、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。国会内で記者会見した顧問の小泉純一郎元首相は「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しい」と断言し、他の勢力を結集し脱原発を進める意欲を強調した。同様の法案提出を目指す立憲民主党など野党も連携する意向で、国会内外で脱原発に向けた法案提出の機運が高まった。 (大野暢子)

法案の「基本方針」には、運転中の原発を直ちに停止し、停止中の原発は今後一切稼働させないと明記。原発の新増設も認めず、核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。 今後は太陽光や風力などの自然エネルギーに全面転換し、二〇三〇年までに全電力の50%以上、五〇年までに100%を目標に掲げる。国には「責務」として、目標の達成に必要な措置を求めた。今後、各政党に法案への賛同を促し、二十二日に召集予定の通常国会への提出を目指す。

脱原発を巡っては、立憲民主党が同様の法案提出を目指す。原自連は法案発表後、立憲民主幹部らと意見交換して連携を確認。今後、希望の党など野党各党との意見交換も予定する。
安倍政権は原発再稼働を進めてきたが、東京電力福島第一原発事故から三月で七年を迎えるのを前に、政党と民間との間で脱原発を目指す連携が再び強まる。

小泉氏は十日の会見で、「自民党には安倍晋三首相が(原発政策を)進めているから仕方ないなという議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、がらっと変わる。野党がどう出るかだ」とも指摘し、自民党総裁選や国政選挙での原発政策の争点化に期待を寄せた。
原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏も会見で自然エネルギーへの転換に関して「経済界としても大ビジネスチャンス。テロで原発が狙われることもなくなる」と訴えた。
原自連は昨年四月に発足し、二百以上の民間団体や企業などが加盟。十日の会見には小泉氏とともに顧問を務める細川護熙(もりひろ)元首相らも出席した。

◆経団連次期会長「再稼働は必須」

 国内の原発四十基のうち、現在稼働しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の計四基。政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、他の原発も再稼働させる方針。経済界も「再稼働は必須」と安倍政権に歩調を合わせる。
稼働中とは別の十基について、原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断し、このうち関電大飯原発3、4号機(福井県)と九電玄海原発3、4号機(佐賀県)が三月以降に再稼働する見通し。
一方、適合と判断された四国電力伊方原発3号機(愛媛県)については先月、広島高裁から今年九月末までの運転を禁じる仮処分命令が出された。伊方を含めて全国十四の原発を巡り、運転差し止めを求める訴訟が起こされている。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日の記者会見で「安全性の確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める政府の一貫した方針は変わらない」と強調した。
経団連の次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西宏明会長も九日、再稼働は必須との考えを記者団に示した。 (生島章弘)

「自治体クラウド 全国に」

本日の東京新聞夕刊に、市区町村が共同で民間データセンターに住民の個人情報を預ける「自治体クラウド」を全自治体で導入する方針を政府が固めたとの記事が掲載されていた。近隣の市区町村がグループを作り、各庁舎と民間のデータセンターを専用回線でつなぎ、住民基本台帳や納税などの情報を一括管理する仕組みで、自然災害によって庁舎が被災するなどした場合もデータ喪失が避けられるという。
情報流出に対する懸念から、民間に委託する点を問題視する声もあろうが、国が主導し全自治体で導入することで経費の点では大きくアドバンテージが出てくるだろうと思われる。「個人情報保護」という錦の御旗から、やたら個人情報にガードをかけすぎて、庁舎内での適切な情報共有すら行われず、業務に無駄が生じているのが現状である。情報共有、迅速な行政対応という観点からも、自治体個別に情報管理部門を置くという考えは改めるべきである。

 

自治体クラウド
複数の自治体が共同で住民に関する情報を外部の民間データセンターに託し、専用ネットワークで一元的に管理するシステム。2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中で導入の加速が明記された。データセンターは、耐震・免震構造の建物で、厳重な入退館管理態勢を敷くなど安全面に配慮している。一般に高度なセキュリティー対策が施され、サイバー攻撃に強いとされる。自治体は削減された費用や人材を他分野で有効活用できるとの指摘がある。自治体が個別に導入する場合は「単独クラウド」と呼んで区別している。

「効率的に『ワイヤレス充電』」

本日の東京新聞朝刊に、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大の天野浩らの研究チームが、離れた場所から電波を使って電気を送る「遠隔給電システム」の開発を進めているとの記事が載っていた。実用化されれば、走りながら電気自動車(EV)に充電できたり、宇宙で太陽光発電した電気を地上に送ったりと、社会全体に影響が及ぶ。
ワイヤレスで給電する技術は世界中で開発競争が激化しており、天野教授らが目指すシステムは離島などへ電波で送電したり、洋上風力発電の電気を都市部などへ効率よく送ることもできるという。天野教授は「遠隔給電は、物流や人々の移動手段に革命を起こす。みなさんの生活を豊かにできる」と意気込んでいる。

チームが開発を目指すシステムは、電気を高周波帯の電波に変換して、アンテナを使って「レーザー光線」のように送り、受信アンテナを通じて再び電気に戻す仕組みである。現在の技術では給電時の電力ロスが大きく、実用化が困難だったが、天野教授のチームは窒化ガリウムの結晶化技術を活用し、効率的に電圧や電力を調整する電子部品の高性能化に世界に先駆けて成功している。

天野氏の述べる「生活を豊かにする革命」という言葉が印象に残った。確かに生活の諸相の全てが変わる期待を感じる技術である。今後の報道に注目したい。

「全原発、速やかに廃止 立民の原発ゼロ法案の骨子判明」

昨日の東京新聞朝刊一面に、立憲民主党の原発政策に関する骨太な方針に関する記事が掲載されていた。
通常国会前に、原発に関する党としての見解を明らかにするという姿勢は素晴らしい。
原発関連は全てダメであり、省エネと再生可能エネルギーの拡大を掛け声だけに終わらせず、法的整備のもとに政府の責任で実施すると断言している。
今年、そうした立民の考えを自分なりに咀嚼し、動いていきたい。


以下、東京新聞ホームページから転載

 立憲民主党が今月下旬召集予定の通常国会で提出する方針の「原発ゼロ基本法案」の骨子が二日、判明した。「速やかに全ての商用原発を廃止する」ことを政府の基本方針とし、全原発を止め、エネルギー危機に陥った場合以外は稼働を認めない。原発に依存しない社会の実現に向けた「国の責務」を明確にする。民進党が「二〇三〇年代」などと将来の目標としていた議論と比べ、具体的な方策に基づき、すぐにでも原発ゼロを実現させることが狙いだ。 (山口哲人)

 法案は「基本理念」を、高速炉の実験炉などを含めた原発を「計画的かつ効率的に全て廃止」と掲げる。電力需要減と再生可能エネルギーの割合増で原発に依存しない社会をつくる。「基本方針」では、原発の運転は石油輸入が途絶えるなど「原子力以外のエネルギー源を最大限活用しても電気の安定供給確保に支障が生じ」、事故時に有効に機能する地域防災計画が作られている場合に限定。非常時を除き稼働を事実上認めない内容だが、「廃止」との関係は分かりにくいと指摘される可能性がある。

 原子炉等規制法が原則四十年とする運転期間の延長や新増設は認めない。使用済み核燃料の再処理と核燃料サイクルも中止する。原発を不要とするため、三〇年時点の電力需要を一〇年比で30%以上減らし、再生可能エネルギーによる発電割合を40%以上とする。こうした方針を確実に達成するため、基本法施行後二年以内をめどに法制上の措置を講ずるとした。政府は、廃炉で経営悪化が想定される電力会社の損失に必要な支援を行い、地域経済への悪影響が懸念される立地自治体にも国が責任をもって対応する。

 立憲民主党は希望の党、民進党(衆院会派は「無所属の会」)、共産党、自由党、社民党の野党五党に法案の共同提出を呼び掛け、東京電力福島第一原発事故から七年を迎える直前の三月上旬に提出を目指す。小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(会長・吉原毅城南信用金庫顧問)も同様の法案を作成している。

◆「今すぐ実現可能」 脱原発の旗印に

<解説>
 立憲民主党が提出する「原発ゼロ基本法案」は、原発ゼロ実現に向け、現実的で具体的な道筋を示そうとしていることが特徴だ。安倍政権は原発再稼働を推進しているが、野党第一党が「脱原発は今でも可能」とする法案を出せば、市民や野党の脱原発勢力が再結集する旗印になる可能性がある。

 旧民主党は、党内に電力労組出身議員を抱え、速やかな原発ゼロには必ずしも前向きではなかった。現在でも、民進党は「三〇年代」とし、希望の党は「三〇年までに」と主張する。一方、立憲はすぐにゼロは可能との立場を鮮明にし、民進や希望と大きく異なる。原発は「麻薬」に例えられることがある。電力会社や自治体が一度手を出すと、原発に依存した経営や財政となり、事故による不利益が甚大になる可能性が分かっても止めることが難しいからだ。

 立憲民主の法案骨子は、根本的な「治療策」として、政府が経営と地域経済に「法制上、財政上その他の措置を講じる」とした。「原発国有化」という選択肢も念頭にある。電力会社や立地自治体とともに脱原発を進めることを重視する点で、これまでの脱原発議論とは「本気度」が異なると言える。法案に与党が賛同する可能性は低い。だが、野党第一党が速やかな原発ゼロを目指す姿勢を示すことで、原発の是非が再び、国会論議などで大きな争点となりそうだ。 (山口哲人)

 

元日の東京新聞

新年最初の東京新聞だが、一面トップは、福島除染事業で汚染土を詰めた二重袋の内袋を閉めなかった手抜き作業に関する記事である。流石、東京新聞、ブレない。ここしばらく、廃炉や除染作業の問題はテレビやネットニュースではあまり扱われなくなった。しかし、本来は日本の安全神話の崩壊の象徴なのだから、毎日のように報じられなくてはならない問題なのである。

社会面は米軍岩国基地の機能拡大に関する話である。岩国では、殴り込み部隊といわれる海兵隊のステルス戦闘機の訓練が日々続き、厚木基地からFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機など海軍の空母艦載機約30機が移転しており、嘉手納を抜いて極東最大級の航空基地となる。北朝鮮の脅威が喧伝される一方で、日本国内で戦争準備は着実に進んでいる。
また、国が市に出す防衛関連の補助、交付金は2017年度だけで114億円に上るという。見返りの一方で危険に晒される危機も一段と大きくなっている。原発立地と同じ構造である。

2018年は明治150年とも言われるが、大学や高校で広がった全共闘運動から50年の節目でもある。「こちら特報部」では、都立青山高校の60代後半となった元活動家と現代の10代の青年とのやりとりが掲載されている。過去にこだわる団塊世代と未来に託す若者の考え方の違いが手に取るように見える内容だった。
青山高校で自治会議長を務めた中村氏は次のように語る。

 今の自分と違う自分が高校時代にいる。それが恥ずかしい。
 入社した当初は後ろめたさがあり、出世してはいけないと考えた。自分の生き方を貫けているか、と自問自答もした。しかし、そうした葛藤は次第に仕事に持ち込まないようになっていった。

 

また、同じく、青山高校で公務執行妨害で3日間勾留された経験を持つ田中氏は次のように語る。

 日本の経済成長は原発があったからこそだとも思う。私はその成長の恩恵を受け、商売を営み、人間関係を築き、子どもを産んで育ててきた。原発を否定したら果たして今の自分はあったのだろうか。
規則に縛られず、教師と生徒の役割のよる対立も大人の壁もない。私たちが当時、戦った課題の半分以上が解決されている。
体制が黒一色でないと、当時は知らなかった。緑も黄色も織りなしていた人たちがいたのに、黒一色なら赤になろうと思った。多様な人たちがいっぱいいたと気付くのは、社会に出て勉強してからだった。

 

10代の青年である蓑田さんは次のように語る。

 50年前の政治闘争がその後数年で収まったように、2015年の安保法制反対のデモに集まった人たちももうどこに行ったか、分からない。一時の感情の高まりだけでは駄目で、継続が必要だ。

 

スポーツ面ではサッカー全国高校選手権の記事が載っていた。男子も女子も冬休みに全国大会が行われるのだが、日程についてはそろそろ再考するべきではなかろうか。テレビ局の都合で視聴率が取りやすい冬休みに大会日程が設定されているのだが、センター試験直前であり、大学受験を考えている3年生の生徒にとっては勉強どころではなくなってしまう。女子も数年前までは夏にひっそりと行われていたのだが、男子に合わせて1月の開催に変更されている。

プロスポーツや実業団であれば、注目が集まりやすい年末年始の大会は全く問題ない。また、大学生も夏〜秋に就職活動があるので、正月の箱根駅伝も影響は少ないだろう。しかし、高校生は夏までに部活動を引退して本格的な受験モードに入るのが一般的である。

サッカー競技も、高体連主催で8月に全国大会(インターハイ)を実施しているのだが、他競技とのバランスを考慮するためか注目されることは少ない。それよりもプロ選手育成を目指した日本サッカー協会主催の選手権大会がメイン大会となっており、夏から最後のシード争いに向けた大会が始まる。1人のプロ選手を発掘、育成するために100人の生徒の学校生活に影響を及ぼすシステムとなっている。本来高校生が学業と両立を図りながらスポーツに打ち込む環境を整えるべき高体連であるが、サッカーだけは匙を投げてしまったのか、全く別扱いとなってしまっている。高体連とサッカー協会による大会の過密化により、顧問のワークライフバランスまでも犠牲になっている。出演料もないアマチュアの高校生が、テレビ局お得意の美談調な裏話や青春ドラマの演者に仕立て上げられていることには疑問を禁じ得ない。