投稿者「heavysnow」のアーカイブ

「イスラエル 強硬世論の背景は?」

本日の東京新聞朝刊に、学生時代の知人の田浪亜央江さんのインタビュー記事が紹介されていた。記事ではイスラエルの右傾化やハマスへの侮蔑意識、マスメディアの煽動などが紹介されている。宗教的な右派は孤立するほど正しいという傾向もあり、イスラエルがますます先鋭化していくのが現状である。そうした情勢を踏まえ、田浪さんは米国のユダヤ人社会や米国の若者の反戦運動に期待を示している。

イスラエルの是非を云々する前に、周辺国が結束してイスラエルへの経済封鎖はいかがであろうか。イスラエルの穀物自給率はわずか6%(日本の穀物自給率は28%。但しとうもろこしや大豆などの飼料が多いので、米はほぼ100%)である。人道的な配慮は尤もであるが、イスラエルを経済的に追い詰めていくことは可能である。アメリカの学生がイスラエルに加担する米政府を批判するように、それぞれの国でイスラエルとの関わりを続けるそれぞれの政府を批判していくことが大切である。

「日中韓 FTA交渉再開へ」

本日の東京新聞朝刊に、岸田総理と中国の李強首相、韓国尹錫悦大統領が首脳会談を開催し、自由貿易協定(FTA)の交渉を再開し、議論を加速することで合意したとの記事が載っていた。

自由貿易協定(FTA)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定のことである。関税や非関税障壁がなくなるので、輸入品が安くなり、輸出量も増えるので、協定締結国同士の経済的結束が大幅に強くなるメリットがある。一方で、日本は米の輸入を制限していたり、韓国は国内市場を守るために日本の自動車の輸入を規制したり、各国とも弱みを抱えており、自由貿易協定が合意に至るまでは道のりは遠い。

しかし、政治的な軋轢はあっても、経済分野で米国抜きに経済連携をとっていくことは、東アジア全域の安定につながる。外務省や経産省には粘り強い交渉を期待したい。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった感情論ではなく、喧嘩しながらも裏では手を結び合っている、懐の深い外交が必要である。

『月下上海』

第20回松本清張賞受賞作、山口恵以子『月下上海』(文藝春秋,2013)を読む。
小説だったので、久しぶりにじっくり読んだ。戦前の日露欧米の租界であった上海を舞台にした小説である。前半は日中戦争が始まっても浮世離れした上海の街の模様が中心に描かれる。登場人物と一緒に旅行しているような気分になって面白かった。財閥のもつ政治力や憲兵の暗躍などのシーンも、時代考証に沿っており興味深かった。しかし、後半の人間ドラマの部分になるとイマイチ感は否めなかった。

「人工芝の微細プラ流出阻止へ動く」

本日の東京新聞朝刊に、世界中で問題になっているマイクロプラスチックが取り上げられていた。マイクロプラスチックとは、大きさが5ミリ以下の微小なプラスチックで、魚の内臓に蓄積され、その魚を食べる大型魚や哺乳類にまで悪影響を及ぼす有害物質である。そもそもプラスチックやビニールは天然には存在せず、自然に還ることもない。記事にもある通り、人工芝やビニール袋、ペットボトルなどのプラスチック製品が紫外線によって細かく分解され、河川や海に流出していく。

記事では1ミリの穴の空いたフィルターで下水道や河川への流出を防ぐ実証実験の模様が報じられている。どれほどの効果や安全性があるものか分からないが、まずはプラスチック製品は必ずゴミ箱に捨てるという習慣を大切にしたい。

『変成岩と変成帯』

都城秋穂『変成岩と変成帯』(岩波書店,1965)をパラっと眺める。
著者は冒頭で、変成岩の定義付けに対して異論を呈している。
火成岩は、ケイ酸塩を主成分とするマグマのなかから結晶した鉱物の集合体である。マグマの結晶作用は、地表で急速に冷却しておこることもあるし、地下でゆっくりと起こる場合もある。また、堆積岩とは、地表またはそれに近いところで風化され、破砕、分解され、その物質が水や空気によって運ばれて、どこかに堆積して生じた岩石である。
そして、火星岩や堆積岩が、それらが最初にできたときとは違う温度、圧力、そのほかの条件のもとにおかれると、鉱物組成や組織に変化が起ころうとする。その変成作用を受けた岩石が広い意味で変成岩である。著者はその変成作用の定義の幅に異論を投げかけている。

また知らなかったことだが、変成岩を形成する一要素である造山運動とは、文字の意味は山を造る運動であるが、実際は地殻を変形して褶曲や逆断層などを生じ、火成活動や広域変成作用をおこし、大陸地殻を形成する作用なのである。

あとは化学式がたくさん出てくる研究書なので、読み進めることはできなかった。