夏休み5冊目
宮部みゆき『堪忍箱』(新人物往来社,1996)を少し読む。
江戸下町を舞台にした短編集で、表題作の他7編が収録されている。「堪忍箱」と「砂村新田」の2編を読んだ。どちらも商家のしきたりや女中奉公など江戸時代をモチーフとしているが、引き込まれるような魅力のある作品となっている。
夏休み5冊目
宮部みゆき『堪忍箱』(新人物往来社,1996)を少し読む。
江戸下町を舞台にした短編集で、表題作の他7編が収録されている。「堪忍箱」と「砂村新田」の2編を読んだ。どちらも商家のしきたりや女中奉公など江戸時代をモチーフとしているが、引き込まれるような魅力のある作品となっている。
夏休みの4冊目
長野まゆみ『レプリカキット』(学研,1992)をパラパラと読む。
自分そっくりの姿形を持ち、モデルの言葉と感情も複製することができるレプリカキットが登場するSF小説である。AIが登場した現代からみると、レトロフィーチャーな世界観となっている。文体も1990年前後の小説風なものであった。
夏休みの3冊目
二宮洸三『集中豪雨の話』(出光科学叢書,1975)をパラパラと読む。
微積分の数式が多く、ほとんどのページを読み飛ばした。しかし、現在では「線状降水帯」と呼ばれる集中豪雨の項は目が止まった。線状降水帯とは積乱雲がほぼ同じ場所で次々と発生し、風に流されて行列のように並んでできる細長い形の降水域のことで、激しい雨が何時間と降り続き、土砂災害や洪水を引き起こすものである。
1975年刊行の本書では線状降水帯のことを「豪雨のバンド構造」と称している。少し引用したみたい。
このようなエコー(積雲対流)バンドの停滞による細長い豪雨域の出現は、数多く報告されていることから、豪雨のバンド構造は、豪雨の起こり方の一つの典型だと考えられます。(中略)なぜ、このように集中した収束帯がこのような長さにわたって、しかも数時間維持されるのか、現在のところわかっておりません。なぜなら、このような収束帯は広い洋上に発生するため、軌道衛星の観測によってようやくその存在が明らかになってきたばかりだからです。洋上でこのような現象を把握するだけの高層観測が行なわれる可能性は将来も少ないでしょうが、やがて、日本が打ち上げるであろう気象静止衛星のデータなどによる研究が期待できると思います。
日本初の気象観測衛星ひまわりが打ち上げられたのは、本書が刊行された2年後の1977年の話である。線状降水帯の存在は50年以上前から知られていたが、その研究が始まったのは1977年以降のことで、この数年やっとテレビの天気予報でも広く知られるようになったのだ。
夏休みの2冊目
甘木つゆこ『はさんではさんで』(マガジンハウス,2008)を少し読む。
第10回坊っちゃん文学賞大賞受賞作の表題作の他、1編が収められている。
タイトルの「はさんで」は、リストカットと同じく、主人公が手術用の鉗子で自らの身体を傷みつけることで、生きていることの実感を感じるという意味である。
つまらない以外の感想なし。
本日の東京新聞朝刊に、新潟県の原発の使用済み核燃料を青森の中間貯蔵施設に搬入する計画に対して、市民団体が東京電力に対して中止の要望書を提出したとの記事が掲載されていた。
使用済み核燃料の放射能が人体に危険のないレベルに下がるまで10万年かかる。10万年の間、地震や火事、火山活動や津波、土砂災害よる被害の生じない場所に保管する必要がある。地質学者によると、日本にはそうした10万年の間、造山運動による影響を受けない場所はないという。北海道の寿都町と神恵内村が最終処分場の候補地として手を挙げているが、10万年の間の安全は誰にも保障できない。
現在は、青森県むつ市の「リサイクル燃料備蓄センター」を最終処分場が決まるまでの一時的な中間貯蔵施設として指定しているが、出口のない貯蔵施設となっている。使用済み核燃料といっても、ウランやプルトニウムなどのまだ燃料として使える資源が95~97%残っていて、政府・東電は再処理を行なって再利用し、高速増殖炉で再利用するという計画であった。しかし、福井県で試験運転を続けてきた高速増殖炉もんじゅは失敗だらけで、2016年に計画が破綻した。そのため、中間貯蔵施設に使用済み核燃料が貯まり続けている。いったい、地震大国日本で、誰が10万年間の安全を口にできるのか。