投稿者「heavysnow」のアーカイブ

「訃報:清水多吉」

本日の東京新聞朝刊に、立正大学でドイツ哲学を教えられていた清水多吉先生が亡くなられたとの記事が掲載されていた。学生時代に大崎にある立正大学まで講演の依頼に訪問したことがある。分かってもいないのに、フランクフルト学派のホルクハイマーを語っていたような恥ずかしい記憶が蘇ってきた。雑誌「情況」への寄稿も多く、全共闘運動を理論的に支えた人物と言ってよいのだろうか。これまた知ったかぶりになってしうまうか。

『巨樹』

八木下弘『巨樹』(講談社現代新書,1986)をパラパラと読む。
著者は林野庁勤務時代から、写真家土門拳氏に師事し、各地の巨樹を撮影し続けた人物である。
その著者が撮り溜めた日本各地の巨樹が写真入りで紹介されている。埼玉県からは牛島の藤と越生の梅林が取り上げられている。日本は南北に広いといえど、気候的な差は小さく、植生も北海道と鹿児島であまり変わらないということが分かった。

『フィールドワークは楽しい』

岩波書店編集部編『フィールドワークは楽しい』(岩波ジュニア新書,2004)をパラパラと読む。
言語学や動物、植物、民族学、考古学など、様々な分野の専門家を取り上げ、現地での研究の大切さを説くという内容である。現地での取り組みを簡単にまとめたレポートを読んでいるような感じがして面白くなかった。

「読書は生活・仕事の一部」

以下、図書館報に載せる原稿

「読書は生活・仕事の一部」

「地理学と哲学は諸科学の母」という言葉があります。古代ギリシャでは人間や神の存在に迫る学問として「哲学」が発達し、地球の大きさや星の動き、土壌、生物を調べるために「地理学」が生まれたという由来です。そして、「哲学」から文学や医学、宗教学、心理学が分化し、「地理学」から数学や物理学、化学が分化発展したということです。そんな地理の授業を受け持つには、幅広い読書体験が欠かせません。

私は二十年ちかく半身浴を行っています。三十分以上、下半身だけお湯に浸かり、汗を流し続けるというものです。私はこのお風呂の時間を必ず読書に充てています。斜め読みですが、年間二〇〇冊近く濫読しています。中には「いったい誰が読むんだ?」と思うマニアックな本もあります。ここ最近読んだ本で、魅力ある本を三冊紹介したいと思います。

一冊目は、未来開拓者共働会議編『まるごと楽しむひつじ百科』です。タイトルこそ平易ですが、羊の種類や繁殖方法、毛刈りの手順まで詳しく解説されています。特に羊の毛刈りは、柔道の固め技のように、羊の押さえ方からバリカンを入れる順番までイラスト入りで紹介されているので、畜産農家を目指す人に是非お勧めです。

二冊目は、金田康正『πの話』です。最初から最後まで円周率の話が続くのですが、著者は数学者ではなく、コンピュータの性能をテストするベンチマークのプログラマーです。スーパーコンピュータで十億桁まで計算しており、小数点以下386,980,412桁目から6の数字が十個連続並ぶとか、「123456789」と並ぶ箇所が二ヶ所、「987654321」が一ヶ所あるなどのトリビアを紹介しています。数字マニアにはたまらない内容となっています。

最後に紹介するのは、木下慎次『消防車が好きになる本』です。消防車というのは、実は消防署ごとにオーダーメイドで製作されるものであり、消防署の数だけ車両のバリエーションがあるといって過言ではありません。本書では、ポンプやハシゴの形状などを見分けるチェックポイントが事細かく解説され、消防車好きの心をくすぐります。

『天文台へ行こう』

古在由秀『天文台へ行こう』(岩波ジュニア新書,2005)をパラパラと読む。
著者は東京大学理学部天文学科を卒業し、東京大学教授、東京天文台長、国立天文台長などを経た天文学のエリートの王道を歩まれた方である。天文台の歴史に始まり、望遠鏡の構造や世界の天文台、太陽系の星、天文台で実際に見られる星、大学での学びで締めくくられる。通り一遍の説明に終始し、正直経歴はすごいが、内容は面白くなかった。

1884年の国際協定で、経度ゼロ時の子午線がグリニッジ天文台を通ると決められていたが、1998年に移転し、現在はエディンバラの王立天文台に統合され、現在は史跡だけが残されている。

太陽の赤道半径は月の400倍だが、地球と月の平均距離は38万キロメートルでと、地球から太陽までの距離の400分の1となっている。太陽と月の見かけの大きさはほぼ等しくなり、皆既日食が起きるのである。