ジョン・ロールズ

昨日の東京新聞の夕刊に、先月亡くなったジョン・ロールズについての日本での扱われ方について、宮崎哲弥氏の分かりやすい解説が載っていた。ロールズは国家公共体は何故、社会的弱者に保護や援助の手を差し伸べる義務があるのかという謎を解き明かした20世紀を代表する政治哲学者である。彼は社会主義とは異なる思想に依拠し福祉の重実を唱えた。ロールズの説を簡単に述べると次のようなものになる。「社会の最も恵まれない境遇にある者の福祉は最大限に改善されなくてはならない。何故なら、自由で機会の平等が保証された社会において、そうした地位は偶有的なものにすぎず、いつ誰が最悪の境涯に立たされたとしてもおかしくない。そのリスクを勘案すれば論理必然的に、最も不遇な者の福祉を増進する社会制度が望ましいということになる。」

民主党の分裂ごたごた騒動を見るにつけ、リベラリズムに関する議論の成熟の必要性を感じる。本来は「個人と個人、共同体と共同体のあいだの紛争や軋轢を一段上から調停する公共性原理としての性格を有する」と考えられるリベラリズムを、防衛や経済・金融制度にうまく織り込んで具現化させていく政党が現在の日本の政治に求められることはいうまでもないだろう。私自身は支持しないが、民主主義政党を標榜する民主党が野党第一党としての小泉政権に対する批判能力を持つことが短期的には必要であろう。

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