『国連新時代:オリーブと牙』

外岡秀俊『国連新時代:オリーブと牙』(ちくま新書 1994)を読む。
朝日新聞の記者である著者が、湾岸戦争後の国連の内情について述べる。国連というと日本では右派も左派も「お上意識」を発揮させ、あたかも国の上に位置する国際組織だと考えてしまいがちである。つまり右派は国際政治の元締役を演じる国連で中心的な立場を担いたいと考え、左派は世界平和を目指す国連に日本の政治は規定されるべきだと考える。どちらも国連を自分たちの都合の良いように解釈し、現実性の無い机上の空論を闘わせている。
しかし現実の国連、特に安保理の正式な会議は形だけのものとなっており、5大国の秘密の電話協議などで政策の大枠が決められているという。9条をないがしろにして、利権の絡む安保理入りを目指す政府は是非国連の内情について勉強してもらいたいものだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください