『69 sixty nine』

夏の15冊目
村上龍『69 sixty nine』(集英社 1987)を読む。
主人公のヤザキくんは女性にモテたいばかりに、1学期の終業式に、ベトナム戦争や管理教育を後押しする〈国家—学校〉権力にアンチを訴え、高校をバリケード封鎖する。そして長期の自宅謹慎を終えて、高校生の高校生による高校生のためのフェスティバルを佐世保の地で計画する。その準備を巡って恋愛や友情、ヤクザ、ロックなどが絡んでくるが最後は大団円で終了する。とにかく自由で、将来は確(しか)と明るく、そして、反体制というアイデンティティを謳歌できた60年代の青春時代を楽しく描く。

アダマ(主人公の友人)は信じている。僕を信じているのではない。アダマは、1960年代の終わりに充ちていたある何かを信じていて、その何かに忠実だったのである。その何かを説明するのは難しい。その何かは僕達を自由にする。単一の価値観に縛られることから僕達を自由にするのだ。

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