生活保護基準の切り下げ

本日の東京新聞の朝刊の藤本由香里さんのコラムが関心を引いた。
厚生労働省は2008年度から生活保護費の給付の基本となる基準額(食費・光熱費などの最低生活費)の大幅な引き下げを検討しているそうだ。藤本さんは次のように述べる。

厚労省は「一般所得世帯の消費実態との均衡」を見直しの理由としてあげているが、この裏には「正社員並みに働いても所得水準が生活保護以下の層」いわゆる「ワーキングプア」の存在があるのは間違いない。つまり働いても保護水準以下なのなら、生活保護基準の方を切り下げてしまおう、というわけだ。しかし、これでは本末転倒だろう。なんとかしなければならないのは、「人を安く使い捨てる」ことを奨励してきた制度の方であり、生活保護基準の方ではないはずだ。(中略)弱者を切り捨てることで国は豊かにならない。今、別の再配分が求められている。

まさに正鵠を得た意見である。働いても働いても家族を安心して養うことのできない収入しかないのでは、労働者はストレスで身を滅ぼすであろう。やはり、日本の社会風土においては欧米以上の広範囲なセーフティネットの確立が求められる。また、雇用のあり方にもメスを入れたい。就職氷河期などで一定の年齢を超えた不定期雇用者や障害を抱えた者、育児や介護などでまとまった時間が取りにくい人たちにとって働きやすい環境を整えていくことが急務である。

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