『楽しくて役に立つ「地理と地図」の本』

向山洋一編・岩切洋一著『楽しくて役に立つ「地理と地図」の本:誌上旅行で日本と世界をかけ巡る!』(PHP研究所 1998)を読み返す。小学校や中学校の授業をする上でのコツがまとめられている。
気になったところだけメモしておきたい。

  • カルデラとはスペイン語で「なべ」という意味である。
  • 江戸時代の1828年に日本の地図を持ち帰ろうとして国外追放処分を受けたシーボルトはドイツ人である。オランダと中国しか交流を認めていなかった当時,ドイツ人が日本にいること自体がおかしいのである。するどい日本人が「先生のオランダ語は少し変だ」というと,シーボルトは「これはなまりだ」と答えたそうだ。
  • 太平洋戦争中,ソロモン諸島にあるガダルカナル島での戦いでは,実に2万人以上もの将兵が命を落としている。これは戦争指導部に地理的知識が欠けており食料などの補給体制を整えておらず,半数以上は病死や餓死というものであった。
  • 日本がはじめて世界地図に載ったのは12世紀にイドリーシーの書いた地図でのことであり,日本は「ワクワク」と表現されていた。これは「倭国」がなまったものと思われる。
  • 「孫子」という兵法書に「地形は兵の助けなり」という言葉がある。

また,著者は次のように述べる。

第二次大戦に敗れた後,日本は占領軍の命令で,それまで地理と歴史を統合し社会科を誕生させました。本当ならこれで地理はもっと幅広い視野から学習できる学問になったはずです。しかし現実には,地理が,味気ない単なる暗記科目におちいりがちになってしまったように思われます。地理は政治・歴史と密接に関係します。非常にダイナミックな学問です。

先日の学習指導要領の改訂で,新たに「地理総合」が新設され必修科目となった。「歴史総合」や「公共」も含めて狭隘なナショナリズム教育という批判もあるが,地理という科目が単独で必修となったのは喜ばしいことと評価してよいのではないか。