臼井隆一郎『コーヒーが廻り世界史が廻る:近代市民社会の黒い血液』(中公新書 1992)を読む。
大航海時代以降、香辛料やお茶、阿片の交易を巡って世界の国々が結びついていく歴史は教科書にも載っているが、コーヒーの流通や普及から、重商主義の拡大から帝国主義までを俯瞰するという、一風変わった内容の本である。歴史の勉強の一環として手に取ってみた。
イエメン発祥とも言われるコーヒーが、メッカやエジプト・カイロを経由したイスラム教徒の隊商貿易で広くヨーロッパに流通していく過程や、フランス中南米のハイチに、ドイツが東アフリカのタンザニアにそれぞれコーヒーのプランテーションを作っていく流れ、フランス革命の情報の拠点にコーヒーハウスが使われたといった、受験生時代に参考書や問題集でやらなかったような史実が次々と紹介される。
高校の教科書が華やかな政治や経済、戦争、事件を中心としたメインストリートであるのに対して、およそ農地に適さないような高地や路地裏の喫茶店での演説など、歴史街道の裏道を辿るようで興味深かった。
『コーヒーが廻り世界史が廻る』
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