津田塾大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
大学の沿革が日本史の資料集のような内容で、明治の夜明け前から、昭和の初めまでの60数年を駆け抜けた創立者津田梅子の生涯が歴史の流れと合わせて語られている。津田梅子さんは、1871年満6歳で親元を離れ、日本で初めての女子留学生として、岩倉具視と一緒にアメリカに旅立っている。また2度目の留学では、ヘレン・ケラーを訪ね、ナイチンゲールとも会見をしている。そして1900年に麹町区一番町(現・東京千代田区)に女子英学塾を開校している。1931年に小平市に移転し、1948年に英文科のみの単科大学として出発する。1949年に数学科、1969年に私立大学初の国際関係学科が置かれ、2006年には情報数理科学科を改組して、情報科学科が開設されている。小平という都心から離れた不便な場所にあるにも関わらず、全国から学生が集まり、全学科において倍率も3倍弱を保ち、4学科のみの学芸学部1学部という伝統を貫き通している。学科を問わず、外国語教育、少人数教育、国際教育の3つを重視している。
また、2年次より所属学科を完全に離れて、独自のカリキュラムによって学習を進める「多文化・国際協力」と「メディアスタディーズ」の2つの特別コースが用意されている。希望者多数の場合は選考を行うということであるが、テーマがよく練られており面白そうなコースである。
パンフレットも大学も紹介という以上に、学問の面白さや、学ぶ意義について丁寧に述べられている。各学科のページに「言語とは」「国際関係学とは」「数とは」「人とコンピューターは」と、学科そのものの成り立ちにまで踏み込んで、学ぶ意味を伝えようとする思いが伝わってくる。今まで読んだ中で1、2番を争うほどの読みやすく分かりやすく興味をかき立てる内容である。
海外留学や、大学院進学、就職、教職課程、日本語教員養成と、どれをとっても地に足のついた内容となっている。
キャンパス内に寮もあり、近隣のアパートも安いので勉学に専念するにはうってつけの大学であろう。