夏休みの9冊目
平山廉『恐竜の謎』(ナツメ社,2002)をパラパラと読む。
著者は日本画家の平山郁夫氏の子息で、慶應義塾大学経済学部を卒業後、京都大学大学院地球科学研究科地質学鉱物学を専攻した異色の研究者である。現在は早稲田大学国際教養学部で爬虫類や古生物学の研究に携わっている。一体大学ではどんな科目を担当しているのであろうか。
話の内容が恐竜の生態や分類に関する話だったので、大半を読み飛ばした。一つ興味深かったのが、恐竜の絶滅に関する話である。1980年にメキシコ・ユカタン半島で隕石の多く含まれるイリジウムが見つかってから、巨大隕石の衝突による恐竜絶滅仮説が提唱されるようになった。この隕石の衝突は、広島型原爆100億発分もの衝突エネルギーがあると計算されている。衝撃によりつくられた粉塵が太陽光線を遮り、急激な気温の低下をもたらし、植物の光合成を阻害したと推測されている。また、大気中にできた化学物質により酸性雨が降ったとも言われている。しかし、爬虫類や両生類などの恐竜以外の陸生脊椎動物はほとんど変化が見られず、昆虫も白亜紀末期から8%しか絶滅していない。地層が溜まっていく速度は数千年ないし数万年の単位であるため、1000年以下の出来事は証明できないという。つまり、照明も否定もできないのである。