月別アーカイブ: 2020年11月

『ぼくたちのアニメ史』

辻真先『ぼくたちのアニメ史』(岩波ジュニア新書 2008)を読む。
著者はテレビアニメ黎明期の脚本家であり、「エイトマン」「鉄腕アトム」「おばけのQ太郎」に始まり、「ジャングル大帝」「巨人の星」「ゲゲゲの鬼太郎」「アタックNo. 1」「デビルマン」「勇者ライディーン」「ドラえもん」「Dr.スランプ あられちゃん」「うる星やつら」「パタリロ!」など、1960年代から80年代にかけてヒットした多くのアニメを手がけている。
この本が書かれたのは2008年であるが、最後に次世代を担うアニメーターとして新海誠氏を大々的に取り上げている。著者の慧眼の鋭さが伺われる。

これで終わろうと思ったが、(中略)アニメ史として欠かせない大きな欠落だけは、埋めておかねばなるまい。テレビ公開でもメジャーな劇場封切りでもないので、ぼんやりとしていたのだが、『ほしのこえ』(2002年)だ。新海誠というゲーム会社に勤務していた若い作者が、たったひとりで作り上げたフルデジタルアニメーション。公開以前からネットで大歓迎を受けていたこの25分は、珠玉の小品というべきか。アートアニメとエンタテイメントアニメを総合したようなーデジタルであってもセルアニメのの温かみを湛えーSFに未知の人の胸にも滲み込んでゆくSFである。大勢が寄ってたかって作る商業アニメ、という常識をひっくりかえして、アートアニメ同様の作家性を発揮、シナリオから監督まで、現実に夢幻の光を重ね合わせた背景美術までが、新海の手になるものであった。(中略)それにしてもこの人の手にかかると、田舎も都会も空も海もロケットも、なんでもかんでも美しい。いつかこの監督も自分が描く美しさに倦むときがきて、新しい挑戦をこころみるのだろうか。(中略)現時点で新海誠ん名を書きとどめることは、『アニメ史』の義務だと思う。

『アニメが世界をつなぐ』

鈴木伸一『アニメが世界をつなぐ』(岩波ジュニア新書 2008)を読む。
藤子不二雄の漫画に登場するラーメン好きの小池さんのモデルとなった人物である。トキワ荘で石ノ森章太郎や赤塚不二夫、つのだじろうなど錚々たる面々と青春時代を過ごした著書が、テレビ漫画アニメ立ち上げのドタバタを語る。

「ウクライナとトルコ 急接近」

明日の授業で紹介しようと思います。
カフカス地方については、授業の中で何度か話題としておりました。
米国の外交戦略が手薄になる11月、12月で情勢が一気に動くかもしれません。
ウクライナの領土であるクリミア半島は2014年以来、ロシアが実効支配しています。
では、ウクライナが国全体を上げてロシアに敵対心を持っているかというと、そうでもありません。ウクライナ国内でも、東西で大きくロシアに対する考え方が異なります。アゼルバイジャンやモルドバの動きに触発された形ですが、ベラルーシ含めて、ロシア周辺の動きが加速しています。