陳舜臣『インド三国志』(講談社文庫 1998)を読む。
1984年に刊行された本の文庫化である。
世界遺産で有名なタージ・マハルの建造者として有名なシャー・ジャハーンムガル帝国第5代皇帝の子のアウラングゼーブ帝の治世を中心に、ヒンドゥー教のマラーター勢力や、イスラム教シーア派諸国、欧州諸国との対立を描く。陳舜臣氏の言葉を借りれば、熱心なイスラム教スンニ派の信徒であったアウラングゼーブ帝が、宗教に不寛容な政策を取ったことが、ムガル帝国の滅亡のきっかけとなった。インドの国内の対立に乗じて進出したイギリスや、オランダ、フランスの動きも興味深かった。プラッシーの戦いやセポイの乱など、世界史の復習にもなった。敵の敵は見方という国際政治のルールが随所で垣間見えた。