月別アーカイブ: 2018年10月

「上野村の『コンビニ』」

本日の東京新聞朝刊に、哲学者内山節氏のコラムが掲載されていた。文章を味わいながら引用してみたい。

 20世紀を代表する経済学者、ケインズは、資本主義を支持した人であった。指示した理由は、資本主義以上に効率的な経済システムはないというところにあったのだが、なぜ効率的なのかと言えば、すべてをお金に換算していくシステムだからだと彼は考えていた。社会の習慣やしがらみに影響されることなく、お金の取引だけで経済を運営することができる、と。
実際、今日の社会はこのような方向で、効率のよい経済を追求してきた。しかしそれは、企業活動にとっての効率性であって、昔から受け継がれてきた仕事や、暮らしにとっての効率性ではないことも、忘れてはいけないだろう。
私は群馬県の上野村という山村にも家がある。1300人ほどが暮らすこの村には、コンビニがない。ところが村の人たちは、「そんなものはいらない」と言う。なぜなら、隣の家がコンビニだからだ、と。確かにそのとおりで、何か不足しているものがあったら、村では隣の家に行けば解決する。どこの家でも必需品は買い置きがあって、提供してくれるのである。良好な関係があれば、困ったことが発生しても村人が解決してくれる。
村の生活は、一面ではとても便利で、効率がいい。畑に行けば野菜があるというのも効率がいいし、山菜や茸が近くで採れるという効率のよさもある。私にとっては夕方ふらっと釣りに行けることも、家にいるだけで鳥や虫の声を楽しんでいられるのも、都市にはない便利さである。
企業活動にとっては、すべてがお金の動きになる経済は効率がよいかもしれないが、暮らしはもっと複雑なのである。もちろん、すべてをお金で決算できる暮らし方に便利さを感じる人もいるだろう。逆に、お金を使わなくても、いろいろなものが手に入る便利さや効率のよさに、魅力を感じる人もいる。
資本主義というシステムは、企業活動を効率よく展開させる仕組みでしかないのである。だから暮らしにとっては資本主義とは異なる効率性も存在するし、昔からあった仕事にも、資本主義的ではないさまざまな支えを必要とするものがある。たとえば農業もそのひとつで、農業はお金の力だけで実現できるものではない。それは自然と人間の共同作業であり、農村社会や農の営みを直接、間接に支えてくれる多くの人々がいてこそ成り立つ。町の商店や職人の仕事も、お金の力だけではないものに支えられている。
だから、資本主義的なシステムがすべてだというような社会をつくってしまうと、社会は多様性とともにある豊かさを失うのである。やせ細った社会がつくられ、資本主義の原理によって、大事なものが壊されてしまう。
今日とは、人々がそのことに気づきはじめた時代なのだと思う。よい環境に支えられた仕事、地域に支えられた仕事をつくろうとする人たちも、農村などに移住する人も増えてきた。
現在の問題は、そのことに政治家や企業経営者が気づいていないことにある。ここでは依然として、アベノミクスに象徴されているように、効率のよい資本主義をつくり、市場経済を拡大させるという発想しか存在しない。
豊かな社会は資本主義的な経済だけではつくれない。資本主義は万能のシステムではないのだということを感じ取れる感性を、いまの時代は必要としている。

内山氏はケインズを例に出しながら、経済に絞って話を展開しているが、効率性を求める陰で進行する負の側面への気遣いが必要であると示唆している。

本日の東京新聞埼玉版に、小泉元首相が原発ゼロと自然エネルギー活用の実現を訴える講演会の模様が写真入りで掲載されていた。同じ内容の話ではあるものの、手を変え品を変えつつ、繰り返し繰り返し伝え続けるという姿勢は大事にしたい。

終わりにしよう天皇制 11・25大集会デモ

以下、救援連絡センターのメーリングリストより転載

日時:2018年11月25日(日) 午後1時15分開場/1時半開始 ※集会後デモ
会場:千駄ヶ谷区民会館2階(原宿駅10分)
講演:栗原康(アナキズム研究) 著書『何ものにも縛られないための政治学』ほか
芝居:森美音子(野戦之月)ほか
コント・歌・アピールなど予定!
主催:終わりにしよう天皇制!「代替り」に反対するネットワーク
WEB:http://han.ten-no.net/
メール:owaten@han.ten-no.net

天皇の自己申告で始まった「代替り」も、いよいよ佳境に入りつつある。
2019年4月30日明仁退位、翌5月1日メーデー直撃の新天皇徳仁即位。
秋には即位礼、大嘗祭。奉祝賛美の雨あられ、「お人柄」報道の大洪水。
腐っている。もう全面的に腐っている。忖度とおべんちゃらの腐敗臭があたりに充満している。耐え難い。耐え難きは耐えられない!
もうたくさんだ!結構だ!
だから私たちは、「終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク」
を結成し、来年11月までの集中的な闘いを挑む。

昨年大好評だった「終わりにしよう天皇制大集会デモ」を11月25日に開催
し、これをネットワークの活動のスタートとしたい。
天皇制に反対する皆さん、「代替り」プロセスに異議ある皆さん、
よく分からんけど変だと思う皆さん!来たれ11・25集会デモに!
超総力結集でよろしくお願いします!

原発いらない ふくしまカレンダー・2019 価格:1000円(税込)

2011年3月11日以来私たちのこころが安まることはありません。原発事故は収束せず被害はさらに広がっています。遠隔操作カメラで明らかになった溶融核燃料、海・空・地へ流れ続ける放射性物質、高線量被曝のリスクをかかえる現場作業員の方々、小児甲状腺がんなど増える健康被害、核汚染物の貯蔵地、そして避難した子どもたちへのいじめ……これらの問題が暮らしに入り込みます。離れ離れになった家族・地域の哀しみに追い打ちをかけるように、国は2017年3月帰還困難区域を除く地区で避難指示を解除、各地の避難住宅支援を打ち切り、放射能の残る地への帰還政策を進めています。春の山火事での放射能拡散も懸念されました。 原発が爆発すればどのような惨劇に見舞われるのか、私たちが経験しているこの真実を政府は覆い隠し地震の頻発している日本列島の各地で次々に危険な原発の再稼働を強行してきました。
しかし、未来をあきらめるわけにはいきません。地震は止められなくても、人間は原発を止めることはできるはずです。「フクシマを繰り返さないで!」その思いで各原発現地や集会へ福島の声を届け、写真も残しました。脱原発社会を作るための様々な行動に、このカレンダー活動を役立てていきます。さらに広めていただければうれしいです。どうぞ、これからも福島に心を寄せ続けてくださいますように。

「原発いらない ふくしまカレンダー」制作チーム
〈連絡先〉090(9424)7478(黒田)/070(5559)2512(青山)
梨の木舎
info@nashinoki-sha.com
FAX:03(6256)9518

激動の一九六八年を検証する―無党派運動の誕生

以下、救援連絡センターのMLから

 べトナム、アルジェリア、パレスチナ等、第2次大戦後も先進諸国の介入で戦争は絶えなかった。また、スターリン批判を契機に、神格化された社会主義への不信も生じ、反戦運動の担い手となった若者たちのエネルギーが、世界の各地で高まっていた。反戦と権力的抑圧に対する抗議運動の新しい流れの頂点ともいえる九六八年、日本の若者はどうしていたのか、それがどう伝えられてきたのかを検証する。

一、小杉亮子「予示的な実践をめぐって─東大闘争から考える」
日本学術振興会特別研究員。2016年、東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。著書、『東大闘争の語り─社会運動の予示と戦略』。

二、太田昌国「60年代とは何か(仮)」
評論家。1943年釧路市生まれ。1968年、東京外国語大学ロシア語科卒。『世界革命運動情報』の編集、刊行に関わる。著書、『〈脱・国家〉情況論: 抵抗のメモランダム2012―2015』、『極私的60年代追憶─精神のリレーのために』他多数。

三、「パネルディスカッション・1968年を検証する」[質疑応答含]
太田昌国・小杉亮子・細谷修平(進行)
細谷修平 メディア・美術研究者。1983年東京都生まれ。和光大学大学院社会文化総合研究科修了。編著、『メディアと活性』。共著、『半島論』など。
資料冊子代 1000円

開催日時:11月10日(土) 13時半~17時半(13時受付開始)
場所:東京古書会館(千代田区神田小川町3―22)
主催:「激動の1968年を検証する」実行委員会

差別・排外主義を許すな!10・21新宿ACTIONへの参加を!

以下、救援連絡センターのMLより

 差別・排外主義に反対する連絡会は2010年来、毎年秋、新宿職安通りを中心にデモを行ってきました。コース沿いの商店などには事前にビラをもって挨拶に訪れ、当日は韓国語でもコールするなど、地域や沿道の人達へのアプローチは欠かせず続けてきた経緯があります。そしてデモは主に柏木公園を出発地と解散地として呼びかけてきました。ところがこの八月以降、新宿区は突然、柏木公園など新宿区内の三つの公園を集合場所として使わせない(使えるのは新宿中央公園のみ)と決定。商店街や住民の要望で「デモは迷惑」だというのが理由です。迷惑だから公園が使えず、デモが規制されるというのは独裁国家並みの暴挙です。私たちは今回の集合場所を「柏木公園前」として呼びかけ、例年通りの職安通りデモを敢行する予定です。
 小池都知事は昨年に引き続き今年も9月1日の関東大震災朝鮮人虐殺追悼式への追悼メッセージを取り止めました。極右レイシスト団体「そよ風」らが「朝鮮人虐殺はでたらめ」と碑の撤去を目標にした運動を強めています。レイシズムに同調する都知事を弾劾し、「そよ風」らの企みを打ち砕きましょう。同時に、公然と優生思想を煽る自民党衆院議員・杉田水脈の差別暴言も、沖縄と在日への差別・偏見・デマを煽る「ニュース女子」を放映し続けるDHCテレビなども、同根であり、こうした悪質なデマゴーグが権力中枢からメディアまで巣食う状況を看過するわけにはいきません。
 米国やヨーロッパでは、移民排斥運動やネオナチなどのレイシズムに抗する闘いが燃え広がっています。国内では川崎で今年も6月、8月とヘイトを許さない大衆行動が果敢に繰り広げられています。私たちも「生きる権利に国境はない」を合言葉に、国境を越えた反レイシズムの連帯行動を押し広げるために、10・21新宿デモを呼びかけます。
 50年前(1968年)の10・21は国際反戦デーとして新宿では数万の民衆が決起しました。
 今、新たな運動の一歩をともに創りだすために、10・21新宿ACTIONに多くのご参加を!

(差別・排外主義に反対する連絡会)
・集会賛同カンパ 1口 個人  500円   団体 1000円
・10月21日(日)
14時半 新宿アルタ前集合 15時~デモ出発