月別アーカイブ: 2017年6月

共謀罪法案の強行採決を断固として弾劾する声

以下、救援連絡センターのメーリングリストより

 参議院本会議では、本日7時46分ごろ、共謀罪法案の採決が行われ、賛成165、反対70で、共謀罪法を可決・成立させた。
 この法案に対しては、刑事立法の基本原則である罪刑法定主義を無視し、「テロリズム集団」「組織的犯罪集団」「準備行為」等、処罰範囲を確定するために必要な概念が明確にされず、277(法務省は、数を少なく見せるために1項犯罪と2項犯罪を同一犯罪と計算している。それらをすべて別個に計算すると、その数は316に及んでいる)にも及ぶ犯罪を処罰対象犯罪としているが、それについてもその根拠についての十分な説明がなされないままである。
 法案の必要性については、「テロ対策」だと明言しているが、本当にテロ対策なのであろうか。
 277犯罪の内訳は、テロ関連犯罪110、薬物関連犯罪29、人身搾取関連犯罪28、資金源犯罪101、司法妨害犯罪9である。110に及ぶテロ関連犯罪として列挙されているものは、テロが行われた際に発生するであろう結果を上げたものにすぎず、それらの計画を事前に察知し、取締りを強化してもテロ行為を防げるものではない。
 そもそも、特定秘密保護法12条に規定する「テロ活動」は、1.政治上の主義主張に基づくこと、2.主義・主張を強要し、又は社会に不安を与える目的の存在、3.人を殺傷し、重要な施設その他の物を破壊するための活動という三要件が必要である。
 ここで掲げられている110のテロ関連犯罪の計画罪は、このテロの三要件とは無関係なものであり、この法案がテロ対策ではないことは明白である。
 また、TOC条約は、国をまたいで存在する組織犯罪を防止するために締結された条約であり、テロ対策のためのものではない。しかし、安倍内閣は、この条約の批准のためと言いながら、市民をだまし、「この法律がなければテロは起きるのだ」と主張し、テロ対策には必要だという論法で押し通してきた。
 この共謀罪法案は、277にも及ぶ犯罪の計画を処罰するものであり、計画していることを監視し、従来の刑事立法では絶対に処罰されることのない「心の中」を処罰するものである。
 それを法務省は、「処罰の間隙」ととらえ、予備以前の段階での早期処罰を狙っているのである。それは、その段階での警察捜査が可能とするものであり、警察の「心の中」の捜査を認めるものである。
 それは、警察による「心の監視」そのものであろう。
 安倍内閣が推進する「戦争国家への道」に異議を唱える者を監視し、国論を一つにまとめ上げようとするものであることは明白である。
刑法は、民法とともに、国家の基本法である。国家の基本法を人々の理解を得る努力もせず、多数の数に頼り、強行採決で処理したことは、民主主義の否定であり、日本という国が安倍専制国家へと変容したことを示すものである。
 私たちは、このような安倍内閣を許さず、安倍内閣の退陣を求め、闘いを継続するであろう。

2017年6月15日
共謀罪の創設に反対する百人委員会

『偏差値30台・文系の子を国公立大学医学部に合格させる方法』

三輪矩子『偏差値30台・文系の子を国公立大学医学部に合格させる方法』(エール出版社 2011)を読む。
京都大学卒でカリフォルニア大学大学院を修了し、海外の大学でも教鞭をとった輝かしい経歴の著者が、夫と協力しながら三人四脚で公立大学医学部に合格するまでの2年間を振り返る。
この手の本にありがちな合格体験記や参考書の紹介、勉強方法などはほとんど書かれていない。英語以外に全く取り柄のなかった息子を叱咤激励する一人の母親の視点で描かれており、一気に読んでしまった。医学部医学科は公私共々あまり縁がないが、子どもの特性を見極める伯楽の視線は勉強になった。

江ノ島散策

 

 

仕事の終わりに少し時間があったので、江ノ島の沖側の岩屋まで歩いた。
重いカバンを背に”登った”ので、汗をダラダラかいたが、海の音を聴きながら歩くのは気持ちが良い。
学生時代に深夜だったか、立ち寄ったことがあるのだがほとんど記憶から抜け落ちており、「どこか懐かしい初体験」を味わうことができた。

『10歳若返る地理練習帳』

日本地理文化研究所『10歳若返る地理練習帳』(ぶんか社文庫 2007)をぱらぱらと読む。
地名や名所、特産品などの簡単な紹介記事を、漢字の問題に直しただけの安易な内容の本である。
この手の「○○研究会」や「××委員会」が発行する文庫サイズの雑学本には気をつけたい。情報は多く、すいすい読めるが、ほとんど内容は頭に残らない。手に取るだけ時間の無駄。

『えっ? 本当?! 地図に隠れた日本の謎』

浅井建爾『えっ? 本当?! 地図に隠れた日本の謎』(実業之日本社 2008)を読む。
日本の地形に始まり、明治維新後の廃藩置県に伴う県庁所在地の選定の混乱や地域の文化や産業など、2〜3ページ完結の雑学がまとめられている。この手の本は気軽に読める反面、系統立っていないので、読み終えてもほとんど頭に残らないのだが、いくつか興味ふかい内容もあった。

一級河川、二級河川という区分があるが、埼玉県は一級河川ばかりで二級河川は全く流れていないのだ。海に面していない県を流れる川は他県を通らねば海に注ぐことができない。2県以上に跨っている川はおおむね長い川が多く、「国民経済上特に重要な河川」である一級河川だということを意味している。

また、戦後一気に進んだ都市圏での水路の埋め立てや暗渠化であるが、近年ヒートアイランド現象を和らげるという目的もあり、暗渠化された水路上のコンクリートを剥がして、河川の水面を蘇らせようという計画が各地で持ち上がって降り、水路は次第に復活しつつあるとのこと。実際にはあまり聞いたことのない話だが、住宅街の水路はできるだけ復活させてほしいと思う。もちろん子どもが落ちたら危険だとか、交通渋滞を招く、匂いが気になるといった反発も出てくるのであろうが、人間の生活空間の中に水の流れは欠かせないものである。ゲリラ豪雨の際の水の流れなどを計算した上で、行政に取り組んでほしいところである。