浅井建爾『えっ? 本当?! 地図に隠れた日本の謎』(実業之日本社 2008)を読む。
日本の地形に始まり、明治維新後の廃藩置県に伴う県庁所在地の選定の混乱や地域の文化や産業など、2〜3ページ完結の雑学がまとめられている。この手の本は気軽に読める反面、系統立っていないので、読み終えてもほとんど頭に残らないのだが、いくつか興味ふかい内容もあった。
一級河川、二級河川という区分があるが、埼玉県は一級河川ばかりで二級河川は全く流れていないのだ。海に面していない県を流れる川は他県を通らねば海に注ぐことができない。2県以上に跨っている川はおおむね長い川が多く、「国民経済上特に重要な河川」である一級河川だということを意味している。
また、戦後一気に進んだ都市圏での水路の埋め立てや暗渠化であるが、近年ヒートアイランド現象を和らげるという目的もあり、暗渠化された水路上のコンクリートを剥がして、河川の水面を蘇らせようという計画が各地で持ち上がって降り、水路は次第に復活しつつあるとのこと。実際にはあまり聞いたことのない話だが、住宅街の水路はできるだけ復活させてほしいと思う。もちろん子どもが落ちたら危険だとか、交通渋滞を招く、匂いが気になるといった反発も出てくるのであろうが、人間の生活空間の中に水の流れは欠かせないものである。ゲリラ豪雨の際の水の流れなどを計算した上で、行政に取り組んでほしいところである。