月別アーカイブ: 2017年2月

「踊りは思想」

本日の東京新聞夕刊の匿名コラム「大波小波」の書評が目を引いた。
アナキズムに造詣が深い政治学者栗原康氏の著作にも目を奪われるが、社会や政治についてリズムに乗って語る軽妙な文体が耳に心地よい。こういう文章を書く力を身につけていきたいと思う。勉強のつもりで打ち直してみたい。

 安保反対や脱原発のサウンドデモ。心臓の鼓動のような太鼓の響きはリズミカル。大声でラップ調のリズムに乗る。いいね。撥ねろ、歌え。踊りは古より民の活力だ。
 遡れば鎌倉時代の一遍上人、全国を遊行(布教)しながら、念仏踊りを広めた。凄い。南無阿弥陀仏を唱え、トランス状態でとび跳ね、地面を蹴り上げ、自由に踊り続けた。死後は教団化を戒めたので、一遍は他の宗派に比べて知られていない。残念。そこで一遍の「踊り」「捨てる」「放浪」をキーワードに、アナキズムの視点から光をあてたのが栗原康『死してなお踊れ 一遍上人伝』(河出書房新社)。著者独特のリズムを持った喋り言葉の文体でテンポよく、一遍の思想が現代に蘇る。伊藤野枝を描いた前作も傍若無人で痛快だった。栗原、やるね。
 踊りは自らの身体を懸けた思想表現だ。ただの肉体ではない。魂が宿る。抑圧状況下での庶民の武器だ。民は金銭(経済)や制度(共同体)の見えない鎖に繋がれている。だが蒼氓のの居直ったエネルギーを一番恐れているのは、いつの時代も権力者たち。栗原の著作は憤怒の叫びに溢れる。放浪上等、乱舞良し。
 それにしても最近の政治は緩み過ぎ。念仏踊りが始まるぞ。(ええじゃないか)

『私立大学 医葉獣 受験合格ナビ』

九段メディカルフィールド『私立大学 医歯獣 受験合格ナビ 2012年度版』(幻冬舎 2011)を読む。
医歯獣医学部専門予備校が出す受験情報誌である。全国の私大医学部・医科大学29校、私立歯学部・歯科大学17校、私立獣医学部5校の詳細な受験データが全て網羅されている。補欠合格のデータや各科目の詳細な出題傾向までまとめられており、出願直前まで十二分に使えるものとなっている。
また、改めて私立歯学部の出願状況の厳しさを感じた。果たして授業が成立しているのであろうか。ここ数日、文科省の大学設置認可に携わってきたOBの天下りが新聞をにぎわせているが、いたずらに認可を認めてきた文科省の責任も大きいであろう。

『フリーター家を買う』

有川浩『フリーター家を買う』(幻冬社 2009)を読む。
就職に失敗し土木工事のフリーターとなった青年が、家族や職場の同僚に支えられながら、社会人として成長していく物語である。
あらすじだけをまとめてしまうとつまらない内容なのだが、母親のうつ病の症状や、就職戦線の現状、土木工事現場のディテールが丁寧に描かれており一気に読んでしまった。続編が読みたくなる作品であった。

清水公園

家族全員で清水公園へ出かけた。妻と子どもたちが園内で遊んでいる間、清水公園の中をマウンテンバイクで回った。
2時間以上も、ちょっとした段差や階段、土手などを走った。傍から見たら迷惑なおじさん以外何もでもない。