岩中祥史『アナログ主義の情報学』(梧桐書院 2010)を読む。
本書は以下の章立てで構成されている。大体章立てを読むと筆者の伝えたいことが読み取れるであろう。
- 「アナログ」の深さと面白さを忘れていないか
- 「紙」情報の価値を再確認しよう
- 「街」を歩いてオリジナル情報を構築しよう
- ブレない主張は「一次情報」からしか生まれない
- 「本」と「ラジオ」と「映画」が、豊かな教養をもたらす
- 「人間」こそ、質と量を備えた情報の宝庫
- アナログ情報をどう整理・保存するか
現代の日本人は、インターネットやメール、SNSといったデジタル情報を追うことに忙しいが、筆者はネットやテレビといった一度編集の手が加わった「二次情報」ではなく、実際に現地に行って、生の姿に触れる「一次情報」の大切さを説く。
そうした情報は海外に行くとか、演奏会に行くといったものだけで得られるものではない。関心を持って街を歩く、道の駅で街を知る、看板や表札を眺める、ショップのカードから考察を深める、移動中居眠りをしない、ホテルのバーでの会話を楽しむ、といった一昔前では当たり前の行動から、ビジネスや人生の様々な「情報」が得られると筆者は解く。
生活のどんな場面でも「情報」を嗅ぎ付ける興味・関心の網を張る事を忘れるなと述べる。
リタイアでもしていないかぎり、時間に追われているのは、どんな人も同じだろう。だが、それでも何か”異変”に気づいたらすぐにそれを探る—それくらいの余裕は持ちたいものである。