ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(角川書店 2004)を読む。
映画化されて話題を読んだ作品であり、しばらく本棚に埋蔵されていたが、やっとページを探し出しページを繰ることが出来た。上下巻600ページを越える長編であったが、映画のように同時並行的に複数の話が進んでいきながら、もつれていた謎が少しずつ解けていく展開に少しも退屈することなく、最後まで一気に読んでしまった。
キリスト教の救世主であるイエス・キリストには、「罪深き娼婦」と蔑称される「マグダラのマリア」との間に子どもがおり、その子どもの子孫が現在も生きているという、キリスト教徒にとってショッキングな内容となっている。「イエス・キリストの代理者」を任ずるローマカトリック教会の大司教である教皇の権威を根底から覆すものである。
この手の内容は得てして単調な話の展開に途中で飽きがきてしまう。しかし、この『ダ・ヴィンチ〜』には、キリスト教の歴史や美術作品における象徴解釈について分かりやすく説明する講釈的な場面、警察とのカーチェイスや飛行機での脱出などの躍動的な場面、そして暗号を次々に解いていく探偵小説的な場面など、上手い具合に起伏が盛り込まれている。
ハリソン・フォードの『インディジョーンズ』シリーズや、ニコラス・ケイジの『ナショナルトレジャー』を観ているようなワクワク感と、自分も宝探しがしてみたいという冒険心を味わうことが出来る。