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「ナチス被害110兆円」

本日の東京新聞夕刊に、ポーランドのワシチコフスキ外相が4日、第二次世界大戦のナチス・ドイツの侵攻による被害が1兆ドルを超えるとの見方を示し、「1939年の侵攻が両国関係に影を落としていることについて、ドイツと真剣に話し合う必要がある」と述べたとの記事が掲載されていた。

ワシチコフスキ氏は「ポーランドが破壊され、ひどい犯罪行為があり、補償が支払われていないのは事実だ」とした上で、賠償請求に関して準備していると説明し、メディアや司法の統制を強めるポーランドの強権的な政策を批判するドイツを牽制している。一方ドイツ側は、オーランドが戦後賠償請求を放棄したため請求権は既に消滅したとの立場を取っており、ポーランドが実際に賠償請求すれば、両国の対立に発展する恐れがある。

日本は歴史に向き合わず、戦後補償もサンフランシスコ条約や日中平和友好条約、日韓基本条約で解決済みという姿勢で、周辺国との対話を拒否してきたが、一方、ドイツはナチスの歴史に真摯に向き合い、戦後補償をきっちりと行ってきたので、周辺の国から信頼を得てきた。何かの本でそんな内容の文章を読んだ記憶があり、戦後処理においてドイツは日本の手本のように感じていたのだが、上記のようなポーランドとの軋轢があるとは知らなかった。ポーランドが戦後請求を放棄したというが、韓国が請求を放棄したのと同じである。条約の文面だけでなく、冷戦や軍事政権といった歴史を考慮してもう一度、検証していく必要があるだろう。ドイツとポーランド間においても歴史認識の共有化作業が求められるだろう。

「クルド自治区独立住民投票 区外キルクークが参加へ」

本日の東京新聞朝刊に、イラク北部キルクーク州議会が29日、クルド自治政府が計画する独立の是非を問う住民投票に参加する決議を採択したとの記事が掲載されていた。油田地帯のキルクークはクルド人自治区外にあるため、イラク中央政府が反発するのは必死である。

キルクーク州は、過激派組織「イスラム国」が台頭した2014年から自治政府の治安部隊ペシュメルがが実効支配している地域である。一方、キルクーク州にはクルド人の他、アラブ人やトルクメニスタン系住民も多く、住民の間の溝を埋めかねない。また、隣国のトルコ、イラン、シリアの各国はクルド人自治区の独立を問う住民投票に反対の意を表明している。

「進むも地獄、退くも地獄」という状況になっている。クルディスタン地域のみがきれいに独立できれば良いのだが、様々な民族が混在しており、どちらかに旗幟を鮮明にすることは、必然的にもう一方の反発を招くことになる。周辺国が納得する形で「うやむやに流す」という方法はないのであろうか。

クルド人
トルコ、イラク、イランなどにまがたるクルディスタン地方に居住する民族で、多くがインド=ヨーロッパ系のクルド語を使用するイスラム教徒である。約3,000万人の人口がありながら、国家を形成することができず、周辺で抑圧された生活を強いられてきた。独立の気運も高いが、イラクでは政府の弾圧により、多くの難民が発生したため、国連がクルド人の保護を決議した。

「ロヒンギャ数千人が国外に ミャンマー 衝突死者100人超す」

本日の東京新聞に、Myanmar(首都は2006年よりYangonからNaypyidaw)の記事が掲載されていた。記事だけでは、Islām教徒の少数民族ロヒンギャ側のテロ行為が活発化しているのか、ミャンマー軍が先鋭化しているのか判別がつかない。

別記事では、Roma法王フランシスコが来月MyanmarとBangladesh(首都Dacca)を訪れ、宗教や民族の違いを超えた融和を呼びかけ、ロヒンギャ問題の解決を促すとあった。Roma法王は先日、Islām国(IS)からテロ予告を受けたばかりである。仏教徒とIslām教徒の衝突にkatholiekの総本山であるRoma法王が間に入るという試みは評価したい。Aung San Suu Kyi国家顧問兼外相の力量では手に余る問題であろう。

 【ヤンゴン=共同】 ミャンマー西部ラカイン州で、イスラム教徒の少数民族ロヒンギャの武装集団が警察や軍の施設を襲った事件に端を発する衝突で、死者は市民を含め百人を超えた。戦闘から逃れようと、ロヒンギャの数千人が隣国バングラデシュに避難するなど混迷が深まっている。

 武装した数百人が八月二十五日未明、同州北部マウンドー周辺で、警察施設や国軍基地を爆弾や刃物で襲撃した。治安当局が反撃して戦闘は市街地に拡大し、住宅や商店、仏教寺院などが焼けた。政府によると、二十七日までに市民十七人が武装集団に殺され、死者は武装集団の八十人と治安要員十二人を合わせ、百九人に達した。

 地元報道によると、衝突拡大を恐れたロヒンギャの女性や子どもらがバングラデシュに逃れようと国境沿いに押し寄せた。既に二千人以上がバングラデシュに入ったが、ミャンマー側で足止めされた人もいる。

 ミャンマー政府は地元の武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)の犯行と断定し「テロ行為だ」と非難。ARSAは二十八日の声明で「官制テロからロヒンギャを守る」と追加攻撃を示唆した。

 シンクタンク「国際危機グループ」は二十七日の報告書で「ARSAが国際的なイスラム過激派グループから訓練を受けた兆候がある」と指摘。当局は六月以降、訓練キャンプを摘発し、手製爆弾や銃を押収。報告書は「軍の反撃で避難民が増えれば、過激派がはびこる素地をつくることになるだろう」と強調した。

 マウンドー周辺では昨年十月にも複数の警察施設が武装集団に襲われ、国軍が掃討作戦を実施。その際も多数のロヒンギャがバングラデシュに逃れていた。

<ロヒンギャ> ミャンマー・ラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒の少数民族。同国西部には古くからイスラム教徒が居住、19世紀にはインドからも流入した。1970年代後半以降、ミャンマー軍事政権に迫害され、一部はバングラデシュに逃れた。ミャンマーは人口の9割が仏教徒で、政府はロヒンギャを自国民族と認めていない。国連は2月、治安当局がロヒンギャの殺害やレイプに組織的に加担したとする報告書を出した。 (共同)

「ロシア武器輸出を拡大」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコへの最新鋭対空ミサイルシステム(S400)の輸出交渉を進めるなど、武器輸出先の拡大を図っているとの記事が掲載されていた。今月22日、モスクワ郊外で中国や北朝鮮、アフリカ諸国など15カ国の軍事関係者を前にロシアの兵器のデモンストレーションが行われたとのこと。

ロシアは米国に次ぐ世界第2位の武器輸出国であり、中国やインド、フィリピン、トルコなど、米国との関係が悪化している国に売り込みをかけている。特にトルコのエルドアン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領、エジプトのシシ大統領などは、ロシアとの前向きな関係強化を図っている。

日本も「防衛装備移転三原則」で、「(1)紛争当事国などに該当しない(2)我が国の安全保障に資すると判断できる(3)目的外使用や第三国移転をしないと相手国が約束した場合」に限って、武器を輸出したり、国際共同開発に参加したりすることが可能となり、既に弾道ミサイル防衛システムに使用されるミサイル追跡センサーなどを米国に販売している。

市場が拡大し競争が激化すれば、「防衛装備移転三原則」は容易に形骸化し、民間ベースで殺傷能力のある兵器が大量に、そして安価に世界中に流通することは間違いない。ネットで検索したところ、三菱、川崎、日立、東芝などがマレーシアやフィリピン、インドやオーストラリアなど、中国周辺の国を中心に武器輸出を始めている。冷戦時代ならいざ知らず、国同士の関係がグローバルに変化している中で、「防衛装備移転三原則」にある「日本の安全保障に資すると判断される」との文言がいかなる有用性を持ちうるのであろうか。

「エストニアが仮想通貨検討」

本日の東京新聞朝刊に、北欧バルト三国のエストニア(首都Tallinn)が独自の仮想通貨の発行を検討しているとの記事が掲載されていた。電子政府の推進に積極的に取り組んでいるエストニア政府は、非居住者にもインターネット上で居住者と同等の権利を提供する「電子居住権」を2014年2月に世界で初めて導入し、海外からも銀行口座開設や会社設立などが容易にできるようにしている。独自の仮想通貨発行は、電子居住権システムを運用管理する政府の担当者がブログで明らかにした。

エストニアは人口131万人と小さい国ながら、ユーロ加盟後にIT立国化を推進し、スカイプが誕生した国としても知られる。電子政府、電子IDカード、ネット・バンキング等の普及が顕著であり、世界で唯一、国政選挙までネット上で行えるようになっている。

埼玉県さいたま市の人口は128万人で、ちょうどエストニアと同じくらいである。さいたま市程度の規模であれば、独自通貨も現実味を帯びる話である。日本でも参考になるであろう。