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「ネパール中国接近へ」「チベット抗議続く」

本日の東京新聞朝刊国際面は、ネパールの下院選で親中派の「左派連合」が圧勝したとの記事と中国四川省でチベット族の男性僧侶が中国政府に対する抗議の焼身自殺を図ったとの記事が並んで掲載されていた。

どちらもシルクロード経済圏構想「一帯一路」のもと、海外膨張政策を推し進める中国の政治経済の表と裏の顔が表れている。中国と通じているネパール統一共産党のオリ議長は今月中旬、中国国境の町を訪れ、中国とネパールを結ぶ鉄道建設計画を明らかにしている。一方、中国当局は2008年3月に発生した「チベット騒乱」鎮圧以降、チベット族の焼身自殺の増加に対して、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の「祖国分裂活動」の一環と決め付け、自殺煽動の容疑で僧侶を次々と逮捕している。

隣国のブータンやミャンマー(ビルマ)、中央アジアでも中国政府の策動によると思われる軋轢がほぼ毎日報じられている。また、中国はアフガニスタンでもイスラム過激派の進入を警戒して関与を強化している。一方、米国はアフガン安定化に向けた新戦略で、インドとの連携強化を打ち出している。

これまで米中摩擦は、台湾やチベット、東南アジアの動きをチェックしておけば事足りたが、これからは南アジアや中央アジア、西アジアの動向も視野に入れないと追いきれなくなる。残り3ヶ月しかないが、何とか地図だけでも頭の中でぐるぐる動くようにしていきたい。

「歴史と平和を守るのが保守」

本日の東京新聞朝刊に、自民党から自由党、民主党とわたり歩いた藤井裕久元財務相のインタビュー記事が掲載されていた。池田勇人や大平正芳など自民党ハト派の政治家の持つ度量を評価した上で、今の政治に対して次のように語る。

私の師匠である田中角栄元首相に「戦争を知る人がいなくなった時、平和や戦争は観念論になってしまう。近現代史を若い人に教えなさい」と言われた。保守とは過去の歴史を守ること。歴史を壊して何でも新しくするのは保守ではない。今、各地の講演に呼ばれれば出掛けている。戦争の危機が高まっていると感じるからだ。私たちが経験した飢えや恐怖を、若い人に味わわせたくない

自民党を礼賛したくはないが、中選挙区制の頃には、自民党内部からも権力が一方に偏ることへの批判の声が上がっていたのだ。自民党の政調会長を務めている岸田文雄氏が、かつてのような「健全」なハト派の政治家の立場を担っているのだろうが、その実態は如何に!?

「リベラルの必要性」

本日の東京新聞朝刊で、山口二郎法政大学教授が、戦前軍部を恐れず戦争と独裁に反対した石橋湛山が源流とされる「リベラル」の意味について大変上手くまとめている。学生時代に友人の「新党護憲リベラル」の「リベラル」は自由主義を表す言葉なのでおかしいという話が今だに頭の片隅に残っており、私もずっと混乱していたので憑き物が落ちたようにすっきりとした。

この(リベラルという)言葉が生まれたヨーロッパでは、個人の自由、特に経済的自由を尊重するという意味で使われたが、20世紀アメリカでは民主党の進歩派が、あらゆる人間に人間らしく生きる権利を保障するという観点から、人種や性別による差別を許さないルールを確立し、貧困層に対しても生きる権利を保障するために政府が積極的に政策を展開するという意味で、リベラルの意味を転換した。

立憲民主党が追求するリベラルは、日本における伝統的なリベラルに、社会的な平等や公正を志向するアメリカのリベラルを加味したものだ。今の日本に必要な選択肢である。

「ナチスの手口」

本日の東京新聞朝刊に連載されている「本音のコラム」で、山口二郎法政大学教授のコメントが良かった。

安倍首相は9月28日に臨時国会を召集し、冒頭に解散を行うと各紙は伝えている。これはナチスの手口を想起させる。

まず、ナチスの手口をいう流れが、ナチスの手口に酷似しているという。1933年のドイツ国会議事堂放火事件を共産主義者の放火だと喧伝し、翌週の国会選挙で過半数近い議席を得て、全権委任状を成立させ、独裁を始めた。国民に恐怖と憎悪をあおり、思考停止状態に追い込んで選挙を行って勝利するのがナチスの手口である。

もちろん、日本では国会が物理的に破壊されているわけではない。しかし、国会を開いても一切の議論をさせないまま解散するのは、国会の機能を破壊する行為である。また、首相は北朝鮮のミサイル発射に際して効果不明の警音を発して国民をおびえさせ、国連演説を国内向けの北朝鮮非難のプロパガンダに利用した。そのタイミングにあえて解散総選挙を設定しようとしている。これはナチスの手口に近い。

北朝鮮危機を収拾することは政治の急務であるが、力による解決を志向するのか、政治的解決を探るのかについては、国際社会同様、日本国内においても論議があるべきである。そうした議論を一切押し流すのが、今回の解散である。

幸い、日本にはまだ自由がある。我々は判断力を保たなければならない。

「紛争激化で利益増 疑問」

本日の東京新聞一面は、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、軍事部門の売上高が世界で10位以内に入るすべての企業の株式を保有しているとの内容だった。10社の中には、ミサイル防衛システムやステルス戦闘機F35を製造するロッキード・マーチン社や垂直離着陸輸送機オスプレイの開発を担ったボーイング社、巡航ミサイル・トマホークの製造元であるレイセオン社などが含まれる。

趣旨がずれてしまうのだが、解説の記事の構成が、小論文の見本のようなものであった。起承転結の4段落構成をきっちりと遵守しており、指導の材料に是非使ってみたい。

公的年金は、高齢者の生活を支える社会保障制度の中核。積立金を確実に運用して、利益を上げることの重要性は疑いない。だが、それだけでいいのか。

GPIFによる株式保有が判明した軍事関連企業が本社を置く欧米の国々は、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦に有志国連合として参加するなど紛争に直接関わっている。

各企業は紛争が激化するほど武器や装備品の売り上げを伸ばし、株価を上げる。株価が上がれば、GPIFの運用益も増える。

増え続ける高齢者を養うための年金積立金が、国民の知らないうちに「軍事支援」に転用されている構図は、倫理上許されるとは思えない。

現行法では、政治的な介入や担当者の恣意的な運用を防ぐため、業種を問わず企業株を自動的に購入する以外に選択肢はなく、こうした投資を排除できない。

日本国憲法は前文で、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と宣言している。年金財源確保のためなら、他国で紛争を助長しても仕方ないということにはならない。国会でのルール見直しの論議が急務だ。(中根政人)