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「政治の怠慢 争えば害」

本日の東京新聞夕刊に、元駐中国大使の丹羽宇一郎氏の尖閣諸島に関する、素晴らしいコメントが寄せられていた。

丹羽氏は、石原東京都知事時代に危機感を煽り、民主党が出口への考えもなしに国有化を決めてから5年間、首脳同士の訪問もない状況になっていることへの打開策として次のように語る。

尖閣は日本の固有の領土で一寸たりとも譲るわけにはいかない。しかし同時に、領土の帰属は双方が納得する解決が難しい。俺の島だ、俺の島だと言い合いを続けても、争いや問題はなくならない。中国の公船が尖閣に来て周りをグルグル。これほど非生産的なことはない。だから今、できることから話し合いをするべきだ。

(具体的には)島の帰属問題は脇において、漁業協定、共同資源開発に向けた協議を始めるべきだ。漁業と資源で折り合いがつけば、無人島の帰属は大きな意味がなくなる。話し合いを始めるという簡単なことが5年もできていない。政治の怠慢だ。周恩来が言ったように「和すれば益、争えば害」だ。

(日中衝突の懸念について)尖閣を巡る戦争は起きない。尖閣周辺での漁業は燃料代が高くて日本から行く人は少ない。石油もよほど大量に採掘できないと採算が合わない。中国にとってもそんなに価値がある島ではない。もっと冷静に考えるべきだ。

(対中強硬論が目立つ中で)中国が嫌いとか厳しい意見を言う政治家は、中国の現状を知らない人が多い。実際に中国に行って、付き合ってみれば同じ人間。政治家の言っていることがおかしいと分かる。だから民間の人材交流が大切だ。

これまで尖閣諸島には石油や天然ガスなどの大量の地下資源が埋蔵されているという海底調査の結果で政治が動いてきたが、丹羽氏の言うように採算が合わないという事実が国際的に周知されれば、非生産的な小競り合いが無意味と分かり、生産的な国家間の話し合いが生まれてくるはずである。

また、2012年の尖閣諸島の国有化後、中国各地で反日デモが起きたが、尖閣国有化にこぞって反対する中国人の姿を演出するため、政府容認の下で組織されたとみられる。ネットを通じて集まった雑多なデモ参加者の一部が暴徒化し、平仮名やカタカナを看板に使っていた中国人経営の店が狙われた「同士打ち」の官製デモが大半であったようだ。

中国のメディア戦略を大々的に取り上げる日本のメディアにも問題がある。めちゃくちゃに破壊される商店のビデオ映像を何度も見せつけられては、中国に対する嫌悪感しか生まれない。草の根の民間交流の積み重ねが、たったひとつの映像でひっくり返されてしまってはたまらない。

尖閣諸島国有化
2012年9月11日、当時の野田政権は沖縄県尖閣諸島5島のうち魚釣島、北小島、南小島の3島を地権者から20億5000万円で購入、国有化した。中国は、周辺海域で石油資源埋蔵の可能性が指摘された後の1970年代に入り日本の領有を非難し始めていたため強く反発、公船による尖閣沖での領海侵入を常態化させ、中国国内では日本に対するデモが頻発した。日中政府は14年11月、不測の事態回避を目指すとの文書をまとめ、首脳会談も行ったが、国有化以降、中国の国家主席、首相の来日はない。

「北の国民苦労増す プーチン氏制裁強化に否定的」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアのプーチン大統領が5日、北朝鮮の核実験にともなう制裁強化について「制裁はもう限界に達して効果がない。圧力をかけても北朝鮮の方針は変わらず数百万人の苦労が数倍増すだけだ」と否定的な考えを示したとの記事が掲載されていた。

プーチン氏は核実験自体は非難したが、米国の介入で独裁体制が崩壊したイラク、リビアなどを例に挙げ「北朝鮮は草を食べるようになっても、安心できるまで核開発は止めないだろう」「武力による威嚇は肯定的な結果をもたらさず、地球レベルの大惨事を生む」と対話堅持路線を求めた。

文面だけ読めば確かにプーチン大統領の発言は正論である。対米国戦略の一環での発言であろうが、「武力威嚇からは否定的な結果しか生まれない」という趣旨は正しい。

韓国・文在寅政権も経済制裁では北朝鮮の核・ミサイル開発を止めらないと、対話による解決に活路を見出している。

日本政府は無思考に米国に追従するだけであるが、文在寅政権に歩み寄り、韓国と共同歩調を取ることが求められる。日韓の連携の対話路線が、米国やロシア、中国がかき乱す東アジア秩序を支えることは間違いない。日米軍事演習、米韓軍事演習が先鋭化し、日韓の齟齬が目立つ情勢こそが一番の危険因子である。

「ナチス被害110兆円」

本日の東京新聞夕刊に、ポーランドのワシチコフスキ外相が4日、第二次世界大戦のナチス・ドイツの侵攻による被害が1兆ドルを超えるとの見方を示し、「1939年の侵攻が両国関係に影を落としていることについて、ドイツと真剣に話し合う必要がある」と述べたとの記事が掲載されていた。

ワシチコフスキ氏は「ポーランドが破壊され、ひどい犯罪行為があり、補償が支払われていないのは事実だ」とした上で、賠償請求に関して準備していると説明し、メディアや司法の統制を強めるポーランドの強権的な政策を批判するドイツを牽制している。一方ドイツ側は、オーランドが戦後賠償請求を放棄したため請求権は既に消滅したとの立場を取っており、ポーランドが実際に賠償請求すれば、両国の対立に発展する恐れがある。

日本は歴史に向き合わず、戦後補償もサンフランシスコ条約や日中平和友好条約、日韓基本条約で解決済みという姿勢で、周辺国との対話を拒否してきたが、一方、ドイツはナチスの歴史に真摯に向き合い、戦後補償をきっちりと行ってきたので、周辺の国から信頼を得てきた。何かの本でそんな内容の文章を読んだ記憶があり、戦後処理においてドイツは日本の手本のように感じていたのだが、上記のようなポーランドとの軋轢があるとは知らなかった。ポーランドが戦後請求を放棄したというが、韓国が請求を放棄したのと同じである。条約の文面だけでなく、冷戦や軍事政権といった歴史を考慮してもう一度、検証していく必要があるだろう。ドイツとポーランド間においても歴史認識の共有化作業が求められるだろう。

「クルド自治区独立住民投票 区外キルクークが参加へ」

本日の東京新聞朝刊に、イラク北部キルクーク州議会が29日、クルド自治政府が計画する独立の是非を問う住民投票に参加する決議を採択したとの記事が掲載されていた。油田地帯のキルクークはクルド人自治区外にあるため、イラク中央政府が反発するのは必死である。

キルクーク州は、過激派組織「イスラム国」が台頭した2014年から自治政府の治安部隊ペシュメルがが実効支配している地域である。一方、キルクーク州にはクルド人の他、アラブ人やトルクメニスタン系住民も多く、住民の間の溝を埋めかねない。また、隣国のトルコ、イラン、シリアの各国はクルド人自治区の独立を問う住民投票に反対の意を表明している。

「進むも地獄、退くも地獄」という状況になっている。クルディスタン地域のみがきれいに独立できれば良いのだが、様々な民族が混在しており、どちらかに旗幟を鮮明にすることは、必然的にもう一方の反発を招くことになる。周辺国が納得する形で「うやむやに流す」という方法はないのであろうか。

クルド人
トルコ、イラク、イランなどにまがたるクルディスタン地方に居住する民族で、多くがインド=ヨーロッパ系のクルド語を使用するイスラム教徒である。約3,000万人の人口がありながら、国家を形成することができず、周辺で抑圧された生活を強いられてきた。独立の気運も高いが、イラクでは政府の弾圧により、多くの難民が発生したため、国連がクルド人の保護を決議した。

「ロヒンギャ数千人が国外に ミャンマー 衝突死者100人超す」

本日の東京新聞に、Myanmar(首都は2006年よりYangonからNaypyidaw)の記事が掲載されていた。記事だけでは、Islām教徒の少数民族ロヒンギャ側のテロ行為が活発化しているのか、ミャンマー軍が先鋭化しているのか判別がつかない。

別記事では、Roma法王フランシスコが来月MyanmarとBangladesh(首都Dacca)を訪れ、宗教や民族の違いを超えた融和を呼びかけ、ロヒンギャ問題の解決を促すとあった。Roma法王は先日、Islām国(IS)からテロ予告を受けたばかりである。仏教徒とIslām教徒の衝突にkatholiekの総本山であるRoma法王が間に入るという試みは評価したい。Aung San Suu Kyi国家顧問兼外相の力量では手に余る問題であろう。

 【ヤンゴン=共同】 ミャンマー西部ラカイン州で、イスラム教徒の少数民族ロヒンギャの武装集団が警察や軍の施設を襲った事件に端を発する衝突で、死者は市民を含め百人を超えた。戦闘から逃れようと、ロヒンギャの数千人が隣国バングラデシュに避難するなど混迷が深まっている。

 武装した数百人が八月二十五日未明、同州北部マウンドー周辺で、警察施設や国軍基地を爆弾や刃物で襲撃した。治安当局が反撃して戦闘は市街地に拡大し、住宅や商店、仏教寺院などが焼けた。政府によると、二十七日までに市民十七人が武装集団に殺され、死者は武装集団の八十人と治安要員十二人を合わせ、百九人に達した。

 地元報道によると、衝突拡大を恐れたロヒンギャの女性や子どもらがバングラデシュに逃れようと国境沿いに押し寄せた。既に二千人以上がバングラデシュに入ったが、ミャンマー側で足止めされた人もいる。

 ミャンマー政府は地元の武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)の犯行と断定し「テロ行為だ」と非難。ARSAは二十八日の声明で「官制テロからロヒンギャを守る」と追加攻撃を示唆した。

 シンクタンク「国際危機グループ」は二十七日の報告書で「ARSAが国際的なイスラム過激派グループから訓練を受けた兆候がある」と指摘。当局は六月以降、訓練キャンプを摘発し、手製爆弾や銃を押収。報告書は「軍の反撃で避難民が増えれば、過激派がはびこる素地をつくることになるだろう」と強調した。

 マウンドー周辺では昨年十月にも複数の警察施設が武装集団に襲われ、国軍が掃討作戦を実施。その際も多数のロヒンギャがバングラデシュに逃れていた。

<ロヒンギャ> ミャンマー・ラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒の少数民族。同国西部には古くからイスラム教徒が居住、19世紀にはインドからも流入した。1970年代後半以降、ミャンマー軍事政権に迫害され、一部はバングラデシュに逃れた。ミャンマーは人口の9割が仏教徒で、政府はロヒンギャを自国民族と認めていない。国連は2月、治安当局がロヒンギャの殺害やレイプに組織的に加担したとする報告書を出した。 (共同)