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『大学で大人気の先生が語る〈恋愛〉と〈結婚〉の人間学

佐藤剛史『大学で大人気の先生が語る〈恋愛〉と〈結婚〉の人間学』(岩波ジュニア新書 2015)を読む。
大学通信制のレポートの参考文献として手に取ってみた。著者は九州大学大学院農学研究院の助教なのだが、モチベーションなどの講義をや講演を受け持っているようだ。気になった点を留めておきたい。

相手の中にある答えや意志を質問によって引き出すスキルをコーチングという。その基本は質問のやり方にあり、著者によると次の質問がよいという。

  1. 相手がすぐに答えられる質問
  2. 相手の考えがより具体化していく質問
  3. 5W1Hのオープンクエスチョン
  4. 過去ではなく未来を聞く質問
  5. 方法や内容を聞く質問
  6. 数値化する質問
  7. やるべきことが明らかになる質問
  8. 相手のやる気がでる質問

コミュニケーションの基本は話す力よりも聞く力である。相手に向き合う姿勢や視線、相槌が大切である。

アメリカの作家、デール・カーネギーは笑顔の持つ力、笑顔の意味について次のように書いている。

元手がいらない。しかも利益が莫大。与えても減らず、与えられた者は豊かになる。一瞬の間、見せればその記憶は永久に続くことがある。どんな金持ちでも、これなしでは暮らせない。どんな貧乏人も、これによって豊かになる。家庭に幸福を、商売に善意をもたらす友情の合言葉。疲れたものにとっては休養、失意の人にとっては光明。悲しむ者にとっては太陽、悩める者にとっては自然の解毒剤となる。買うことも強要することも、盗むこともできない。無償で与えてはじめて値打ちが出る。

『生物学のすすめ』

黒田洋一郎・馬渕一誠編『生物学のすすめ』(筑摩書房 1997)をパラっと読む。
発生生物学やがん、老化、免疫学、神経科学、遺伝子テクノロジー、進化など、一項目だけで本ができなそうなバラエティに富んだ内容となっている。しかし、一つ一つが極めて専門的な内容となっているので、素人には手が出ない。序章の中で、「この本は、研究者をめざす人達に対して生物学を研究してみませんかというお誘いの本でもある」とあり、納得の一冊であった。

『うたの旅人Ⅱ』

朝日新聞be編集グループ『うたの旅人Ⅱ』(朝日新聞出版 2010)をパラパラと読む。
朝日新聞に連載されていたシリーズもので、ヒットした曲が歌われた土地を尋ね、作曲者や作詞家が込めた思いを探るという面白い企画である。

私が小学校教員免許の認定試験の課題曲となった唱歌「故郷」を訪ねる企画もあった。「故郷」に歌われた風景は、作詞家高野辰之氏が幼いころをすごした長野県の永江村(現・中野市)だという。だから歌詞に山や川はあっても、海は出てこない。「兎追ひし」とあるが、肉が手に入りにくい時代に大切なタンパク源をとるために、師が兎肉を求めた「兎追い」のことである。

また、山下達郎さんの「クリスマスイブ」であるが、団塊ジュニアの私たちは、「クリスマス=恋人の時間」という発想が刷り込まれている。しかし、コラムニストの堀井憲一郎さんの著書『若者殺しの時代』(講談社現代新書)によると、日本でクリスマスが「恋人たちのもの」と宣言されたのは1983年と明確に言い切っている。日本で初めてシティホテルで過ごすイブの夜を恋人たちに提案したのが、1983年12月に出た雑誌「アンアン」の「クリスマス特集」だったというのだ。1980年代末期には、この特別な夜に過ごす相手もいない青春は恥ずかしいという強迫観念が醸造されることとなり、堀井氏はこうした雰囲気をクリスマス・ファシズム」とさえよび、1990年11月13日号の「週刊プレイボーイ」では「正義のキャンペーン開始 俗悪クリスマスをぶっ潰せ!」という記事さえ登場している。