武田修志『人生を変える読書』(PHP新書2001)を読む。
「自分自身の体験を交えながら名著の案内をする―こういう本は、多少の読書家をもって自任する人なら、だれしも一度は書いてみたいものではないでしょうか。」とあとがきで述べているように、作者オの多少の自慢が交じっており、読後感の悪いものであった。
そんな中で、ショーペンハウアーを読んでいたら、「愛とは同情である」と書いてあったんですね。これなら分かる気がしました。それというのは、「同情」という日本語は、今では意味するところが相当下落して「同情なんかされたくない」というふうに使ったりしますが、もともとの意味、つまり「情けを同じくする」という意味での「同情」です。ドイツ語では「ミット・ライデン」と言うのです。直訳すると「共苦」という意味です。「他人の苦しみをわが苦しみとする」ということです。これが「愛」だとショーペンハウアーは言っているのです。