『まるでエイリアン』

中野収『まるでエイリアン:現代若者考』(有斐閣 1985)を旅の途中の居酒屋でパラパラッと読む。
私自身が中学生だった1980年代がどういう時代であったのか振り返ってみたいと思い手に取ってみた。
当時、法政大学社会学部の教授であった著者が、『なんとなく、クリスタル』に代表されるブランド志向や、女子大生ブーム、ウォークマン、『ぴあ』、少女マンガなど、当時を席巻した若者文化に対して、学問的観点から分析を加えている。特に60年代後半から70年代初頭の、いわゆる「全共闘」世代との対比から、当時の若者世相に迫っている。当時の若者は外部の権力に抗して自我をストレートに肯定し主張した全共闘世代に対して、外部との価値を絶って自我をぬるま湯的に育てている〈カプセル人間〉であると筆者は分析している。

特に1990年代後半以降の若者気質が変わったと喧伝されるが、その萌芽は80年代にあり、またその胎動は70年代に始まっているのである。

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