辻元正教『ケガレ意識と部落差別を考える』(解放出版社 1999)をパラパラと読む。
著者は部落解放同盟中央執行委員を務めており、大学のでも教壇に立っている方である。差別用語としての「穢多」の字にある「穢れ」がどのような歴史的変遷を経てきたのか、中世の文献から遡って職業や言葉の語源などから明らかにしている。といっても固い学術書ではなく、話し言葉で分かりやすく説明している。
特に著者は、1950〜1980年代の部落解放運動が、差別的実態を放置し、差別してきた権力と闘うことに主眼を置きすぎて、部落に対する差別意識の中身が何に由来するものかという検証を怠ってきたと指摘する。