板倉聖宣『新哲学入門:楽しく生きるための考え方』(仮説社 1992)をパラパラと読む。
著者は1953年東京大学教養学部教養学科、科学史科学哲学分科を卒業。1958年東京大学大学院数物系研究科物理学課程博士コースを修了、物理学史の研究によって理学博士となった科学の専門家である。その著者があえて森羅万象を扱う哲学について論じる。
米国の禁酒法や江戸時代の生類憐みの令、毛沢東の文化大革命などは壮大な社会実験であり、その中身は間違ったものであったが、実験を経て人間は賢い方向に進歩してきたと論じる。つまり、自然科学であろうと社会科学であろうと、仮説を立て実験を繰り返すことで学問は進化していくのであり、最初から真実に到達したり、安易な弁証法で真理を得るのは間違いであるとする。