『大学の真の実力 情報公開BOOK』

螢雪時代編集部『大学の真の実力 情報公開BOOK』(旺文社 2020)をパラパラと読む。
全国の国公私立大学の入学定員、入学志願者総数、合格者数、入学者総数に始まり、地元占有率や女子入学者数、入試の種別などが羅列されたデータ集である。

入学者定員100名に対し、新入生が45名の愛国学園大学や、入学定員5名のところ3名の入学者があった東京神学大学などの例外もあるが、地方を含めほとんどの大学でほぼ入学定員に近い充足数となっている。背景には定員ギリギリに近づけることができる補欠合格制度が当たり前になったこともあるのだろう。

また、入学者が実際にどの入試制度を利用したのかというデータも興味深かった。玉川大学観光学部は入学者93名のうち、一般受験はたったの3名である。AO入試が33名、公募が1名、指定校が48名、附属・系列が8名となっている。立正大学法学部も345名の入学者のうち一般は17名、AOが44名、公募が8名、指定校が235名、附属・系列が16名である。ただし、これらはあまり驚くデータではなく、上智大学は全学部で一般合格者に比率が50%を割っている。

国立大学は一般がほとんどだろうと思っていたが、公募の比率が高くなっている。群馬大学理工学部は入学者522名のうち、一般受験が339名である。公募推薦が163名にのぼる。

また、早慶の人気学部も附属・系列校から受け入れをせざるを得ず、早稲田の政経学部は入学者738名のうち一般が310名と5割を切っている。また、慶應大学法学部も1,248名の入学者に対し、一般受験はたったの430名に過ぎない。理工系は一般が多いかと思いきや、早稲田大学の基幹理工学部は入学者581名に対し、一般受験は231名しかいない。おそらく名前が通った学部ほど附属・系列からの希望を優先する経営判断が働いているのであろう。

面白いのが附属から全く進学しない大学もある。武蔵大学は全学部合わせても附属からたったの4名しか進学していない。麗澤大学や聖学院大学、松蔭大学や鶴見大学なども高校は進学なので、ほとんど系列の大学には進学していない。大学が高校を作ったら人気校になるが、高校が大学を作っても見向きもされないという法則がデータによって裏付けされている。おっと、フェリス女学院大学は高校からの進学者がゼロである。高校は横浜の中心にあるが、大学は横浜市の外れにある立地条件も悪かったのであろう。

学生一人あたりの図書の貸し出し数まで掲載されている。東洋大学が5.7冊となっている。日本文化大学はその10分の1の0.5冊である。