速水健朗『東京どこに住む?:所得格差と人生格差』(朝日新書 2016)を読む。
東京23区といっても東部と西部で分断されており、中央線や東急線沿線の皇居の西側と下町地区の東側を比べると、現在でも「西高東低」の意識が強いことがうかがわれる。また、一口に東京23区というが、千代田区、渋谷区、港区など、皇居から5キロ圏内の都心部と、足立区や葛飾区、練馬区などの「都心郊外」では人口動態が大きく異なっている。
つい20年くらい前まではドーナツ化現象という言葉に表されるように、首都圏郊外がいわゆる東京を支えて来たが、この10数年、飲食店やICT産業を中心に職住近接の都市開発が進んでいる。
著者も紹介しているが、東京都心だけでなく、地方の中心都市など、30万人規模で半径5キロ圏内の都市生活が車を使わなくても、人々の関係が構築でき、環境にも良いという都市論となっている。大変な良書であった。