『パラサイト社会のゆくえ』

山田昌弘『パラサイト社会のゆくえ:データで読み解く日本の家族』(ちくま新書 2004)を読む。
社会学の中心テーマである家族関係や労働、学校、年金などについてズバリ切り込んでいく。特に1998年という年が、日本社会が不安定化した節目の年だという意見が面白かった。数値例を挙げると、自殺者や青少年の凶悪犯罪、強制わいせつ認知件数、セクシャル・ハラスメント相談件数、児童虐待相談処理件数、「できちゃった婚」、「社会的ひきこもり」、「不登校」、子どもの勉強時間、フリーター就業人口などの数値が、1998年前後に軒並み望ましくない方向に振れていることが分かる。将来に対する希望や夢が持てなくなった日本社会に変貌した転換点が1998年であるという結論は、実感を持って理解できるところである。