本日の東京新聞朝刊に、論絶委員の青木睦氏のタジキスタンの政治・外交に関するコラムが掲載されていた。アフガニスタンの北隣に位置するタジキスタンでは、過激派組織「イスラム国」(IS)の活動が活発で、アフガニスタンからタジキスタンを経て中央アジア全域に脅威が及んでいる。そうした「過激主義は貧困や体制側の専横、腐敗という社会的不公正を土壌にしてはびこる」ものである。タジキスタンは人口は900万人足らずで、国土は日本の4割という小国である。インフラ整備が遅れ、世界食糧計画(WFP)によると、一日1.33ドル未満で暮らす人が半数近くに達する。旧ソ連圏の中で最貧国であり、多くのタジク人がロシアに出稼ぎに出かけている。国民総所得でもアジア全体でアフガニスタン、ネパール、カンボジアに次ぐ第4位の少なさである。
20年以上も大統領の座にあるラフモン氏への権力集中が進み、抑圧的な統治が続き、腐敗を始め長期政権の弊害も目立っている。青木氏が「民生の向上はテロ根絶につながる」と述べるように、日本から距離以上に心理的に遠いタジキスタンの政治に着目していきたい。