内田良平写真集『カトマンズ百景』(山と溪谷社 1992)を眺める。
ネパールの首都カトマンズ盆地全域の人物や建物、自然の風景が収められている。
カトマンズは北緯28度で日本の奄美大島の緯度とほぼ同じであるが、平均高度は1331メートルもある。寒いのか暑いのかよく分からないが、ケッペンの気候区分ではCwaに属し、一年を通して過ごしやすい。
ヒンドゥー教とチベット仏教の寺院やら仏像が混在する不思議な町である。またネパールはインド・オーストラリアプレートが北上してユーラシアプレートに沈み込み、海底の堆積物が押し上げられて作られたヒマラヤ山脈に位置する。地震大国なのに、日干し煉瓦に瓦屋根の高層建築が目立つ。素人でも2年前のネパール地震での被害の甚大さが推測される。
日本政府は2015年4月の大地震後、約16.8億円の緊急無償資金協力と、住宅、学校、公共インフラの再建を中心とした総額320億円の復旧・復興支援を行っている。日本の技術が発揮される援助として賛同するが、8000人を超える犠牲者が出る前にもっとできることはなかったのか。原発輸出の前に、世界の最先端を進む地震対策技術こそ、どんどん輸出すべきである。