本日の東京新聞夕刊に、2024年にも人口世界1位になると予測される大国インドと、そのインドが覇権拡大を懸念する中国との結びつきを強めてインフラ整備を進めるパキスタン両国の紛争から現在の政治経済状況までまとめて記事が掲載されている。
インドは毎年7%の成長で経済規模を拡大させているが、上位1%の富裕層が資産の58%を独占する格差社会となっている。インドの乳幼児死亡率は1000人当たり37.9人で、地方と都市の格差も深刻で、乳幼児の死者の7割が、国内で最も貧しいとされる9つの州に集中しているという。
また、パキスタンは民主政治が定着せず、武装勢力の活動もあって政情不安が続く。首都イスラマバードにある国際戦略研究センターのサルワル・ナクビ局長は「宗教を基盤にインドと分かれた当初から問題を抱えていた。国土や国家財産の多くがインドに渡り、自分たちの力で切り開かなければならなかった」とパキスタンが抱える様々な問題の根源を説明している。
インドは「世界最大の民主主義国家」と呼ばれ、政治的には安定しているものの経済的な不安定要素を抱えている。また、パキスタンはGDPでインドの約10分の1と及ばないが、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を進める中国の支援を受け、インフラ整備に力を入れている。両国とも導火線がはみ出した状態で、中国や過激派組織がいつ火をつけるとも分からない状況にある。せめてカシミール地方だけでも、中国が火種になる前に、中立国による委任統治や共同管理という形は取れないのだろうか。
印パ分離独立
20世紀前半のガンジーによる独立運動などを経て、英領インドは1947年8月、ヒンズー教徒主体のインドと、インドを挟み込む形で東部と西部にイスラム教と主体のパキスタンに、それぞれ分離独立した。東パキスタンは71年、バングラディシュとして独立した。分離独立時、パンジャブ、ベンガル地方などがインドとパキスタンに分割され、宗教対立から多数が犠牲となった。インドのジャム・カシミール州では現在も独立を目指す武装勢力が活動している。